日々イエンゴ

全国の会員が日々の相談・検査・設計・研究などの活動から皆さまに役立つ事例、家づくりに関する地域の情報、社会情勢ニュースに対する専門家としての意見などを発信していきます。

地震に備える

 日本は様々な種類の災害が多く起こる可能性があります。

 その中でも地震災害に対する備えは誰にとっても重要な課題で、万が一地震災害が発生すると誰もが被災者になります。


 とりわけ高齢者や障害のあるか方などが住む家では、家具転倒などの被害によりケガをする可能性があることはこれまでの地震災害の中で明らかです。

 ケガの可能性を最小限に留めるためにどうすれば良いか。

 今の家を耐震化するのは費用の面でも困難であるならば、家の中の安全な場所と避難路の確保だけでもすべきです。



 当会では「防震」と呼んでいる「誰もが出来る家の地震災害防止対策」を推奨しています。

 「地震に備える集い」という意見交換会を実施している地域もありますのでご参加ください。

 当会は建築士としての意見となりますので、高齢者や障害のある方などに対する日頃の訪問活動やみまもりをしている民生委員の方や、地域防災に関わる方との意見交換をすることで、地域防災のお役に立てればと考えております。


お問い合わせは家づくり援護会事務局までご連絡ください。

NPO法人家づくり援護会 事務局
東京都渋谷区千駄ヶ谷4ー3ー1ー602
 TEL:03-3405-1358
 e-mail:info@iengo.ne.jp



桐のフローリング

 桐材と言えば箪笥を思い浮かべると思います。


 高級家具ですね。


 昔は下駄やまな板と言った生活用品にたくさん使われていました。

植えてから15年から20年で成木となるので、

女の子が生まれると庭に苗を植え、その桐材で嫁入りダンスを作ったと言う話を聞きました。


 その桐材を使ったフローリングがあります。

やわらかい木ですので傷がつきやすいのですが、

そのやわらかさが肌に心地よく転んでもケガをしにくいのが特徴です。


 比重0.28~0.3と軽い素材は空気をたくさん含んでいて断熱性に優れています。

他のフローリングに比べ暖かく感じます。

素足で生活するのに適しています。

桐材は傷つきやすいのですが復元力があり、

水を含ませアイロンをかけることで修復できます。

値段は安くはありませんが面白い素材だと思います。


 桐材の産地は多々ありますがその一つに新潟の五泉があります。

昔は需要があったので山も手入れがされていてたくさん生産されていたようです。

今は家具としての需要も減り、山に手を入れる余裕もなく、

用材としてはほとんど使えないようです。


 そこで中国の人件費が安かった頃、中国で植林をして桐材の生産を始めました。

桐材にはアクがあってアク抜きをしなければならないのですが、

それも中国で丁寧に指導して良質の桐材の生産ができるようになりました。

ところが、中国の人件費が上がってしまって、

日本の企業が経営することはできなくなったようです。

今はただ単に製品を中国から輸入しています。


 日本の人件費が安くなってしまった今、

山の再生ができる時代になったのではないのかなと思うのです。

桐のフローリングや家具の需要が増え、

いつの日かまた五泉の山で桐の生産ができるようになるのを願っています

東北:関 清


「住宅産業」住宅は産業?

「住宅産業」、世間では時々耳にする言葉ですが、

「住宅産業」というその言葉自体に少し違和感を覚えてしまいます。



いかにも大量生産で画一的な家を建てているハウスメーカーの

ためにある言葉と思われます。



コツコツと一軒づつ丁寧に作られた家のイメージが

「産業」という言葉からは湧いてきません。

「家づくり」と「産業」という文字は、そもそも馴染まないのではないか。



そんな中、もともと住宅の業界ではなかった全く関係の

ない業界からこの業界への参入が始まっています。

なんと、自動車メーカーT社や家電販売企業Y社が家を造るというのです。

家電屋さんが「電気自動車と家」をセットにして販売するという。



住宅建築を専門にする大手ハウスメーカーでさえ、

色んな問題を起こしているのにも拘わらず、

異業種からの住宅業界への参入です。



一方、大手ハウスメーカーD社は、

人口減少などで日本国内のパイが減ってきているため、

海外へ進出しだしているようです。

海外比率50%を目指すとか。



日本の街並を変えるだけでは飽き足らず、

海外の古き良き街並みまで変えていくつもりなのか。



これからの時代はなおさらのこと

家づくりを依頼する側(建て主)が、しっかりと考えを持ち、

施工業者を選別しないといけない時代になってきたように思われます。



関西:鉢嶺 民雄


25年前に建てた友人の家

 先日久しぶりに友人宅へ伺いました。
 
 その友人は子供のころから畳の上で育ってきたので畳以外の上での生活は考えられないと言って全室和室の家を建てたのです。


 奥様も同じような環境で育ったらしくお二人の意見は一致していました。

 その当時でも、もう和室だけの家を建てる人はほとんどいなくなっていました。

 25年の歳月が経っているのに数年しか経っていないようなきれいな状態を保っていました。

 日頃の手入れが良いのかと思ったのですが、共働きで手入れもしていないとの事。

 ただ畳は表替えをしたそうです。


 考えてみると、当時の棟梁が久しぶりに和風の家を手掛ける事に情熱を燃やしていたのを思い出しました。

 和室を作るには大工の技術がそのまま反映します。

 長押や鴨居、廻り縁と言った横物に寸分の隙間なく納まっていました。

 たぶんそう言うところが建物を若く見せているのでしょう。

 和室がどんどん減って大工の技術も受け継がれなくなる事はしょうがない事なのでしょう。

 宮大工、数寄屋大工と並んで家大工がいてそれぞれの技術があります。

 今も専用分野でその技術を持った人達はいます。

 ただ、その技術は今の住宅にはかならずしも必要でなくなったのかもしれません。

 現在の住宅の老化が早いのは求められなくなった大工の技術にも一因があるのかなと考えさせられる訪問でした。

東北:関 清


建替えの予算組にご注意

 今の住まいが古くなり建て替えをする、また、中古住宅を購入して解体してから新築を建てる、など自分たちの希望を入れて家を建てることは夢の一大事業です。



 新築住宅を購入するのと大きく違うのは、まずは古い家を解体しなければならないことです。



 建て替えなどの場合、家づくりの予算を考える時に解体工事費も含めて考えなければならないのですが、2023年10月の法改正により解体費用が大きく増えることになりました。

 テレビなどでも耳にしたことがあると思いますが、人体に悪影響を及ぼす「アスベスト」に対する法規制が厳しくなり、調査から届出、処分まで、非常に多くの手間と費用がかかることになりました。



 規制前には様々な建材に含まれていた「アスベスト」ですが、人体に影響があることが解ってきていからは建材への使用が禁止されたため、新しく使われる建材には含有されていることはありません。

 しかし、古い家には「アスベスト」含有の建材が使われているので、どこに含まれていて、どのように処分するのか、事前に届出する必要があります。

 解体工事をするときにも、「アスベスト」含有の建材を壊す時には今までのように機械を使えず、手で撤去のうえ袋詰めして、周りに飛散しないように運び出さなければならない、これを聞いただけでも余計な費用が掛かることが解ると思います。

 
 調査をしなければどれだけ使われているか解らず、費用もはっきり出来ない、だけど調査するためには屋根や壁を壊してサンプルを調査会社に提出しないと解らない、など、住んでいる状態では費用が出てこないという状況になります。


 国が決めた流れでは、全体工事費を決めてから家づくりをはじめることが難しいことになってしまいました。

 解体費用には、少し余裕を持って計画することが必要であることを忘れず、予算組にはご注意ください。


理事長:植田 達二