関東・首都圏 活動ブログ

全国の会員が日々の相談・検査・設計・研究などの活動から皆さまに役立つ事例、家づくりに関する地域の情報、社会情勢ニュースに対する専門家としての意見などを発信していきます。

2ページ目

技術を磨く場の減少

 工場生産での大量生産は、良質なものを安価に求めることのできる社会を実現させ、それにより人々の生活は飛躍的に便利になりました。

 住宅産業で言えば、工場生産パーツで組み立てる家づくりの一部がそうかもしれません。

 材料は繊維板や成型板などの人工建材(=新建材)を使うため、収縮やねじれがなく加工が容易で、施工時間も従来より大幅短縮は出来ます。

 しかし建主さんが材料に天然無垢材を使用したい、壁は塗り壁にしたい、建具や家具を特注で造りたい、本格和室も欲しいなどと思われたら、新建材を多用する一部の住宅では対応が困難な可能性があると思います。

 そういった依頼にも対応できる職人さんの存在が必要です。
 
 良い素材材料を用いて設計されても、それを形にする大工さんの腕技術が低くければ、見た目で粗が目立つでしょうし、耐久性も落ちてしまいます。

 例えば無垢の木は、性質による収縮やねじれも考慮しながら加工をしなければなりませんので、性質を見抜く目も必要でしょう。

 今は大工さんの人口自体が減少している現状です。併せて、新建材を多用する住宅の需要増加を踏まえると、その希少な大工さんが技術を磨く場も減少していると思います。

 巾木(はばき)の出入り隅の造り方を見ても、樹脂製のキャップを両面テープで留めて仕上げている住宅と、材を45°斜めに切ってピタッと角を造り仕上げているのでは、見た目の気持ち良さと耐久性が違います。



関東:石川 克茂


リフォーム検討時に不足している情報


 一般社団法人住宅リフォーム推進協議会の実施したアンケートで、
リフォームの検討段階において不足している情報として多い順に、



①費用の目安や積算の基準

②工事の依頼先選びの目安や基準

③老朽度を診断・検査する専門家に関する情報

と回答されています(住宅リフォーム潜在需要者の意識と行動に関する調査 第11回)。

上記が潜在需要者のリフォーム実施の障害になっているかと思います。


当会では、こうした不安や疑問の解消をサポートするメニューがございます。

[チェック支援]
http://www.iengo.ne.jp/side/k-sapo/k-sapo.htm

[住宅診断]
http://www.iengo.ne.jp/side/jyutakusindan/shindan.htm
 
ご検討いただければと思います。


関東:石川 克茂


工事中の不良施工の3つの原因

 何事の結果には原因があります。
 
 工事中の不良施工にも原因があります。


 
 最低でも工事中には3回のチェックポイントがあるのですが、それを全て見逃してしまうことであとで施工不良が発見されることがありますし、中には施工不良が発見されないまま出来上がった建物に居住してしまうこともあります。
 
 家を建てる方・家を買われる方は今一度ご自身の家についてお考えいただく機会になれば幸甚です。


 今回はその3つの原因についてです。


①職人自らによる未チェック
 間違っていないと思いこんでいる職人も多いようで、自らチェックしていないことがあります。
 また、ミスに気が付いていても「このくらいはいいだろう」という甘い認識で進めている場合もあります。
 まずここでミスに気が付けば修正も小さくて済むのですが、スルーされてしまうことがあります。


②現場監督の未チェック
 このことも当会ブログでたびたび指摘していますが、現場監督が現場を厳しくチェックできていないことです。
 多くの現場監督は工事の段取りが主な仕事のようになっていることも問題の1つかと思われます。


③工事監理者による現場の未チェック
 各現場ごとに「工事監理者」という現場チェックの責任者が決まっています。この「工事監理者」は確認申請書に名前が記載されています。
 ですが、「工事監理者」が自ら現場をチェックしていることは少ないのが実情のようですので、この段階でもスルーされているのが現状です。



 このようにミスが発見されなければ、そのまま工事は進んで完成してしまいます。

 ですので建て主の方たちは、「工事中のチェック情報」を必ずもらってください。
 「誰が」「どのように」チェックしたのか、工事写真やチェックシートなどの「工事中のチェック情報」をもらってください。完成してしまうと骨組みなどは見ることがほとんどできませんので。

 施工業者を信じることは大事ですが、信じるに値する情報を得ることで安心を担保できると思いますので、遠慮なく申し出て自分自身を守ってください。
 


関東:大垣 康行


家づくりの重要ポイント「契約」

家づくりでトラブルに巻き込まれないための重要ポイントは、何と言っても「契約」です。

 家の新築、リフォーム、設計、建売住宅の購入、土地の購入など、何を始めるにしても「契約」がスタートであり、その後の基軸となってきます。
 
 我々は、「ハンコを押す前なら間に合います」と言いますが、まさにハンコを押してしまったら後戻りはできません。
 
ハンコを押すということは、契約の内容、様々な約束事(契約約款)に納得した、ということになります。
 
 不幸にもトラブルに発展してしまった場合は、契約書、契約約款に則って交渉し解決することになると考えると、契約の重要性がお解り頂けるのではないでしょうか。

 例えば、施工請負契約書をチェックしていると一つの問題点が見えてきます。
施工者が用意する契約書ですから、「施工者はきちんと施工をするし約束を守るが、施主は支払いが遅れたり約束を守らないことがある」という立場から契約条項が作られているものが少なからずあります。
 
施工者と施主は対等な立場であることを忘れずにいてください。
写真は、イエンゴで作成した施工請負契約書で、契約書、契約約款、細則となり、これに見積書や仕様書、設計図面などの添付書類とと一緒に組まれて「施工請負契約書」が完成します。


 イエンゴでは、前もって契約書をもらい、事前に内容を確認したうえで要望(条項の変更や追加など)があればきちんと伝えることをお勧めしています。
 契約当日に契約書を見せられて、怒涛の如く説明されても内容を理解することはプロでも困難です。
 
 それでも不安な方は、イエンゴで契約書チェックを行っていますので、事前に手に入れた契約書をお送りいただき第三者の目でチェックいたします。
是非ご利用ください。


必ず「ハンコを押す前に確認する」ことを忘れずに、安心の家づくりを進めましょう。


理事長:植田 達二



ハウスメーカーの現場確認の現状 その2

ハウスメーカーの現場確認の現状 その2

 下記の写真は、当会の「欠陥住宅予防検査」で撮影の1枚。

 室内の耐力壁(建物構造上の重要な壁)で、壁の下側を留めるビスが配管があるため打てない状況です。
 これを根本から修正するためには、配管を一度外してビス留めしたあとに再度配管を工事するようです。


 なぜこのような状況になってしまったか。
 
 これは現場監督が、室内の耐力壁と配管の関係を見落としてしたと思われるからです。
 このように配管がある箇所のビス留めは、配管より先に先行して工事しておかなければなりません。それを理解していなかったか、忘れていたのか、工事の段取りが逆になってしまったのです。


 そもそも現場監督には事前に「耐力壁の検査」があることは伝えてありますので、当会の検査前にチェックしていればわかったことだと思いますし、それ以前に室内の耐力壁と配管の関係を理解していれば工事の順序も逆だったはずです。


 これは以前のブログでも書いてありますが、ハウスメーカーの現場監督は担当件数が多く内容を詳細に把握できていないことが原因の一つかと思います。工事の進行が滞らないことが主な仕事で、図面の把握、現場の状態確認までできていないのではないでしょうか。ハウスメーカーは家づくりを数多く・工程を早くすることで利益を得ています。その弊害の一端がこのような事象として出ているのも事実だと思います。



関東:大垣 康行