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 家を建てる前に読む本 家づくり援護会[編]          もくじ第1章第2章第3章第4章第5章第6章第7章

第6章  施工ミスを防ぐ @

第6章 施工ミスを防ぐ
施工ミスは起こる
大部分はうっかりミス
起こりやすいミス
管理の誤解

第3者検査の必要性
(1)はじめに
(2)「金融公庫の中間検査とは?」
(3)「住宅性能評価とは?」
(4)「専門家のチェックで欠陥住宅を防ぐ」
(5)建て主の責任

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施工ミスは起こる

 家づくりは人の手によって作り上げる、という事は前にも書きましたが、これが1番の問題であると言っても過言ではないでしょう。1件の家を建てるのにいったい何人の人間が携わるかと言うと、30人以上の職人さんと、それ以上の数の人たちが資材を作ったり、運んだりしています。その職人さんたちの手によって、1つ1つ積み上げていくことで、家づくりが完成します。
 家づくりは、人間の手によりそれなりの工期をかけて作り上げるものであるために、工場で作り、そのまま運んでくるものとは違い、施工中のミスと言うものが起こりやすい環境にあります。家づくりの第1歩は基礎工事から始まります。もちろん、地盤調査の結果によっては、杭工事や地盤改良工事などの、基礎の前の工事がありますが、ここでは基礎工事から考えたいと思います。
 基礎工事とは土を掘って底を作り、その上にコンクリートを立ち上げる工事を言いますが、土を掘るのも、その底に石を敷き詰めるのも、全て人の手によるものです。そして、コンクリートの中にある鉄筋を組むわけですが、これにしても人の手によって組み上げられる物です。現在ではユニットとして製品になっているものもありますが、それにしても曲がりの部分や、切ったり張ったりの部分は、現場において作り上げるものです。それがすべて完了すると、実際にコンクリートを流し込み基礎として出来上がるのです。次には建物の構造となる、柱、梁などを組み上げ骨格が出来上がります。この構造部分は、昔であれば棟梁が材料を見極め、材の癖をみて使う場所を決めて仕口の加工を施していました。
 現在でも同じやり方で施工しているところもありますが、近年はプレカットと言う工場加工で行う場合が多くなっています。それでも、実際に現場で組み上げるときは人の手により組み上げていきます。その後は、言わずとも棟梁により現場での施工が始まるわけです。
また、様々な業種の職人さんが入ることになりますが、ほとんどが現場での施工になります。このように、ほとんどが現場で人の手によって作り上げていくわけですから、全くミスがないと言うことはありえないと言ってもいいでしょう。
 但し、小さなミスであれば、全く問題にならないでしょうし、見過ごされてしまう場合が多いのも事実です。見過ごして良い問題か否かを見分けるのは、非常に困難なことですから、如何にして対処していくかについては後ほど書くことにします。



大部分はうっかりミス

 家づくりの怖さとは、家づくりの工程の中で、どこかでミスがおこり、またそれを見過ごしてしまうことにより、将来的に欠陥住宅の汚名を着せられてしまう可能性を秘めていることです。
 しかし、現在世間を騒がせている欠陥住宅は、全て重大な過失が原因かと言うと、一概には言えません。大部分は、元々の小さなミスを見過ごし、そのミスに対し、いいかげんな対応を行うことによって発展し、最終的に欠陥住宅となってしまっているようです。最初の小さなミスは、故意によるものと、そうでないもの(職人のうっかりミス)に分けられますが、この、うっかりミスが大半を占めているようです。
 故意によるものは、施工会社、もしくは職人に悪意(故意)があって行うものですから、責任の所在もはっきりしますし、直し方も見当がつきます。また、そういう業者は、いつまでも会社を存続させることができるはずもありません。それでも、後を絶たない一般に悪徳業者という会社とは契約しないことが大切です。
 ここでは、うっかりミスに焦点を当ててみます。前項で書いたように、様々な職人さんにより現場が進んでいくことで発生しやすくなっている面もありますが、実は、他にも原因があるのです。それは、同じ家が2件とないことです。プレハブ住宅のようにカタログを見て「これください。」であれば同じものがありますが、(プレハブ住宅はこれが目的です)実際の家づくりではありえない事です。
 同じ家というのは、例えば間取りに限ったことではなく、仕様であったり、工法・構造であったり、果ては施工会社ごとの納まりの違いであったりするのです。昨日と今日で納まりの違う現場で施工を行い、図面だけを頼りに施工していれば、どんな優秀な人間であっても、たとえ匠の技を持った職人さんでもミスを起こさないで施工することが困難であることは明白です。
 しかも人間ですから、健康状態や天候気候によって集中力が切れる場合も考えられます。経験が仇になって起こるミスもありますから、ミスをどう判断するかが現場を進める上で大切でしょう。



起こりやすいミス

 実際に起こったミスをあげてみましょう。
 埼玉県のN邸で起こったミスで、設計図面と実際の現場での違いを見過ごしてしまった例です。現場で最初に行うことは、建物の位置を明確にする遣り方という作業です。よく現場に杭を打ち、板により建物全体を囲っている状態です。この作業を決める元になるものと言えば、もちろん設計図面であることは解ると思いますが、この設計図面の通り現場に落としこんでいく作業は、現場監督と棟梁、鳶などにより行います。
 ここで建物配置を決めていくことになりますが、その現場では敷地の境界ラインがちょっと複雑になっていたため、最初に敷地境界を確認していきましたが、1箇所だけ、隣地の杭を建設地の杭と勘違いしてしまったため、建物の位置が設計図面よりずれてしまい、敷地境界線ぎりぎりに建物が建ってしまうと言うことが起こってしまいました。建物の上棟式が終わった後に施主が気づき、すぐに対応策を練らなければならなくなりましたが、敷地からはみ出していないことが不幸中の幸いで、隣地の方と話し合い、法的にも問題ない形で工事は進みました。遣り方の作業を当事者全員で行いましたから、まさか間違いがあるとは思いもせずに工事を進めてしまったことが、ミスを見過ごしてしまった最大の理由です。
 実際には工事着工の第1段階として、地縄というロープや紐を使い、地面の上に建物の大きさを張り、工事管理者や施主立会の基、全体配置や車庫の寸法などを確認した上で着工します。ここでは、その確認を怠ったことも大きな原因でしょう。
 次によく起こるミスの原因として上げられる、変更というものがあります。工事着手前の変更であれば、あまり大きな問題にならないのですが、これが着工した後となるとミスの原因作りに一役買うことになります。
 施工途中での変更と言うのは極力発生しないようにするため、設計段階での打合せを綿密に行い、最終決定してから着工するのが1番だと思います。
 しかし、そうは言っても変更と言うのは起こってしまうものです。あまりにも目移りしすぎで起こる変更と言うのは、双方ともに避けるほうが無難かと思いますが、せっかくの家づくりですから、満足のためには多少なりとも変更が出てしまうのも、致し方ないことでしょう。但し、1つの変更により多くの仕事に影響が出ることも知っておいてほしいことです。
変更を申し入れた段階で、中にはすでに完了している部分もあり、これから作業する部分もあり、それら全てに対してやり直しや、変更の手続きをしていくことになりますから、どこかで伝わっていなかったり、実際の職人まで知らなかったりすることがあればそれが全てミスに繋がってしまうのです。ミスが発生しないようにすることも必要ではないでしょうか。



管理の誤解

 それでは、ミスを防ぐにはどうすれば良いのでしょう。
 まずは、現場は誰が管理し、誰が責任者かを考えてみましょう。
現場で行う管理には、工程管理、品質管理、施工監理、安全管理、設計監理などがあり、それぞれに責任がついてきます。法的には一定の規模や、構造によって有資格者の管理が必要になりますが、ここでは実際の住宅建築について述べていきます。
 まずは工程管理ですが、これは読んで字のごとく工事期間の全体工程を管理することです。
着工時点から竣工に向けて工事の段取りを行い、契約書にしたがって引渡しを出来るように工事を進めます。
 施工中の天候気候や、職人の段取りによる遅れを出さないようにすることが目的であり、現場監督が1番気を使う管理です。現場監督は、契約書どおり完成させるために工事を進めるわけですが、大抵の場合遅れがちになってしまうようです。この遅れを取り戻すために、無理に職人を入れてしまったり、養生期間を短めにしてしまったりします。ここにミスが発生する原因があります。例えば、3日かかる工事に対し2日しか与えられなければ、きちんとした工事が出来るわけがありません。
 また、同じ現場に多くの職人さんが仕事をしていれば、思うようには作業が出来ません。また、遅れている現場では、現場監督自ら現場片付けを行ったり、作業の手伝いをしたりしているため、実際に見なければならない部分を見過ごしてしまうことにもなります。これではミスを発見することは出来ません。
 次に品質管理は、現場で使用する材料をはじめ、全体の品質をチェックすることです。
 1件の家を建築するためには、1万点にも及ぶ資材が必要になってきます。これ全てを確認することは不可能ですが、ポイントを押えることで品質管理を行います。現場に搬入してきた資材を、職人さんがチェックしてから使用してくれれば良いのですが、与えられたものを取り付けてしまうのが現状のようです。
 棟梁が現場を取り仕切っていれば、チェックしながら施工していきますが、現状では現場監督がチェックしなければなりません。現場に搬入されてから、使用するまでの僅かな時間の中でチェックすることを怠れば、これもまたミスを起こす原因にもなります。次の施工管理では、建物のグレードを決めてしまう施工基準を管理します。いくら良い材料を使用したとしても、その取り付け方にミスがあったり、下地にミスがあったりすれば、あるべき性能を発揮できません。例えば、構造耐力を上げようとして、構造用合板を使用するようにしても、それを取り付ける釘やビスが適正なものでも、間隔が適正でなければ構造耐力は上がりません。
 また、近年話題となっている断熱の仕方も、内断熱と外断熱に比較されていますが、どっちにしても取り付けの仕方によっては、断熱性能が得られないだけでなく、結露などの問題も発生してしまうわけです。ここでの管理というのは、直接性能に関わってきますから、充分に気を使う必要があるのです。
  特に後からでは見えなくなる部分であるとか、構造的に重要な部分について、どういう管理を行っているか、施工会社に対して確認しておいた方が良いでしょう。
安全管理というのは、現場での事故防止を目的とした管理です。 現場に携わる職人さんはもとより、近隣の第3者に対しても損害を防止するために、日々心がけておくものです。安全管理自体が建物に直接関係はしませんが、施工中に事故があったりすれば、気分的に良いものではありません。
 また、その損害によっては、施工会社の経営に影響がある場合も考えられますので、前章に書いてあるような、保険なども考えてある施工会社のほうが安心できるでしょう。
 最後の設計監理については、現場が設計図面どおりの施工がされているかどうかをチェックします。よく建築家が設計した建物は、その建築家が設計監理まで行う場合があります。これにはまた別の理由があり、設計図面に表現しきれない部分を施工中に指示したり、場合によっては変更を指示したりするために行っている場合が多いようです。
  以上のような管理を行いながら現場は進んでいきますが、責任についてもそれぞれの管理者が負うようになります。
  しかし、実際にはそれぞれが分業ではなく、現場監督1人しかいない場合がほとんどです。
現場監督は管理者でありながら、現場の当事者になってしまいますから、全てについて責任を持たせることも不可能に近いのではないでしょうか。 施工会社として請け負っていれば、最終責任は代表者にありますが、責任者不在が実情ではないかと思います。われわれは、その責任者を明確にするように、施工請負契約書にもあえて監理者を明記する事をお勧めします。
 この監理者は施工監理と設計監理を行い、その他の管理についても施工者に協力しながら円滑に工事が進むようにする責務を負います。
  管理がしっかりしていれば良い家ができるとは限らないのです。


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