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 家を建てる前に読む本 家づくり援護会[編]          もくじ第1章第2章第3章第4章第5章第6章第7章

第6章  施工ミスを防ぐ A

第6章 施工ミスを防ぐ
施工ミスは起こる
大部分はうっかりミス
起こりやすいミス
管理の誤解

第3者検査の必要性
(1)はじめに
(2)「金融公庫の中間検査とは?」
(3)「住宅性能評価とは?」
(4)「専門家のチェックで欠陥住宅を防ぐ」
(5)建て主の責任

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第三者検査の必要性

(1)はじめに

それでは現場が始まったら、全て現場監督と監理者任せで良いのでしょうか。
また、こういう話を施工会社にすると決まって、「当社には検査員がいて、施工物件の検査を定期的に行っています。」などの返事が聞かれると思いますが、本当にそれで安心できるのでしょうか。
施工会社によっては検査部門が独立して、実際の現場担当とは違う目で検査を行なっている場合もあります。
また、現場担当者の上司、若しくは代表者が検査を行なっている会社もあるようです。
しかし、どちらにしても同じ会社の従業員が行なっていることに相違ありません
。これで本当に第3者の目といえるのでしょうか。
同じ会社である以上、そこには甘えが存在し、自分たちの都合がまかり通る場があるのです。
同じ時間に違う場所には、決して行く事は出来ません。
その場合に「検査」をどういうポジションで考えるかが、施工会社の真価の問われるところだと思います。
現場を止めてでも検査を受けるようにするか、人のやり繰りをしてでも検査を行うか、はたまた、現場監督に任せてしまうか、場合によっては職人さんにしっかりやるように伝えるだけか、施工会社によって対応はまちまちでしょうし、管理者の資質の問題かもしれません。
会社としては、期限内に仕上げなくてはいけないというお題目を持っていますから、現場を止めてでも検査を行うことは稀でしょう。
いい加減な検査システムでは、検査をしているとは、言わないほうが良いのかも知れません。



(2)「金融公庫の中間検査とは?」

それでは、現場で行われている他の「検査」について考えてみましょう。行政の行っている施工中の検査としては、よく言われる金融公庫の中間検査、特殊建築物などの特定工程の検査、建築基準法で決められている完了検査などがあげられます。金融公庫の中間検査は、文字通り住宅金融公庫の融資を受ける場合に、建築確認申請や金融公庫の仕様に基づいて施工がされているか否かを確認するもので、一般には、特定行政庁が代行して行います。検査としては、建物が建ちあがって、金物・筋交い・断熱材などの施工が完了した段階で、現場に来て検査をしてもらいます。但し、ここでの検査は、法的に適合しているか否かであって、出来栄えや、施工精度を見るものではありません。ですから、違反建築の防止は出来ても、欠陥住宅の防止にはなかなかなりません。なおかつ、行政が忙しすぎるせいか解りませんが、実際に現場で検査を行っているのは僅かな時間であり、酷い時は、5分程度の場合もありました。これできちんと見ているとはいえないと思います。この検査については、金融公庫の融資を受ける場合の絶対条件になりますから、検査に合格しないと、融資が実行されません。良い悪いは別として、検査を受けているのが現状です。次に、特定工程の検査についてですが、これはその地区の行政庁がそれぞれ定めている建築物に対して行っている検査です。例えば、木造の3階建て以上のものや、共同住宅、木造とRC造などの混構造建築物の場合であり、通常の木造2階建て、専用住宅などは対象となっていないことが多いです。(行政庁によってはすべての建築物に対して行っています。)内容としては、基礎の配筋時、上棟時など、2回程度の検査で、検査費用も別にかかります。ここでは、構造的に問題ないかどうかが検査対象であるため、構造計算通りの施工がされていて、金物などが適切な場所に使われていれば良しとします。ここでも、出来栄えや、施工精度については検査対象外ですが、構造的な問題については欠陥の発生防止になっていると考えられます。最後の完了検査は、建築基準法に定められている、工事完了に伴い検査済証を取得するため行う検査です。これは、建築確認申請により許可された建物は全て受けなければいけないものです。前記の特定工程の検査対象建物は、特定工程の検査に合格していなければ検査済証は取得できません。残念ながら、法で決められている検査にも関わらず、実際に検査を受け検査済証を取得している建物は、非常に少ないのが現状です。施工会社が理由を言わずに検査を受ける事をしなければ、問題のある施工会社であるといっても過言ではないでしょう。しかし、施主の希望で、小屋裏を作りたいとか、広げたいなどの要望を聞いてしまい、結果的に違反建築物になってしまうから、という理由で検査を受けられない場合も多々あるようです。施工会社にとっては、検査済証の取得について施主が了解していれば良いような風潮もありますが、逃げ口上を言っているに過ぎないと思います。この検査は、最終的に建築確認申請通りの建物になっているかどうかをチェックするものです。このように行政が行っている検査は、違反建築の防止が第1であり、なおかつ、全ての段階で検査を行うわけではないので、実際には法の網の目をかいくぐるような施工現場が多数存在します。現実に住宅金融公庫の検査を受けた建物でも、欠陥住宅となってしまった例もあるようです。



(3)「住宅性能評価とは?」

平成14年に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律」の定めにより、住宅の瑕疵担保期間が10年となり、任意の選択としての「住宅性能評価」を出来ることになりました。この「住宅性能評価」を行う指定住宅性能評価機関は、財団法人や株式会社等で日本全国に配置されています。しかし、国が新しく創った法律でありながら、実際に家づくりを考えている国民が欲しいものとは程遠いもので、施行されて2年を経過してもほとんど活用されていないのが現状のようです。これには様々な理由がありますが、どうしても拭い去れないのが、性能を評価したような土俵の上は大手ハウスメーカーの独壇場であり、1件1件を手作りしている建設会社や地場工務店には対応しきれないものであることと、工場生産品として出来たものは全て同じ評価となる考え方、また、その指定住宅性能表機関によっては株主が大手ハウスメーカーの名前が連なっている事実があり、第3者性がまったく嘘であることに他ならないと思います。住宅にとって性能評価と言うものが必要なのかとなると、残念ながら現状の基準では不充分でもあるし、「だから?」となってしまいます。性能の基準についても、最低の基準が今までは良いとされてきた、金融公庫仕様程度になっています。評価として見た時に、4段階、5段階あったなかで、最低ランクのものが一般の人に受け入れられるわけがありません。まして、売るほうから見ると、他社と比較して1ランクでも良いほうがいいような販売手法になることは解りきっていたことだと思います。この性能評価のランクは、金で買うことが出来るのです。買えるというのは、逆に返すと性能評価で売ろうとしたときに販売価格(こういう考え方は好きではない)が上がっていくことになるのです。日本の住宅の価格は高いと言われ、コストダウンを言っているわりに、国自らコストアップの土俵を作ってしまったのが、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」です。性能評価の仕方についても、間取りによる壁の取り方、窓の大きさ、使用する建材による火災の対応、空気環境、断熱性能などが対象になっているため、企画プラン、企画仕様であれば、認定を取ることにより検査の書類、回数が削減されます。それに比べ、自由設計であったり、お客様の希望で1棟ごとに違う仕様で行ったりする場合は、そのたび膨大な書類作成が必要となってきます。そういう意味でも大手ハウスメーカーの独壇場であると言えるでしょう。余談ですが、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」による性能評価を受ける場合、設計部分と建築部分に分けられますが、合わせて15万〜20数万円が検査費用としてかかって来ます。しかし、ここにも国が隠している部分があります。前にも書いたように性能評価を受ける場合、膨大な書類作成を施工会社が行わなければなりません。この費用が実際には大きく、30万円以上の人件費がかかっていると言っても過言ではないでしょう。大手にように人が余っている会社は仕事が作れていいでしょうが、一般の施工会社ではかなりの負担になってしまいます。性能評価機関同士が価格競争をしても、このような部分が削減されない限り適正価格は出てこないでしょう。性能評価機関によっては、いろいろなサービスを付けて少しでも使ってもらうようにしているよですが、非常に滑稽な姿で、営利企業の何者でもありません。この住宅性能評価に関しては、全く考え方が違い、「よい家づくり」のためには、何ら意味のないことだと考えます。



4)「専門家のチェックで欠陥住宅を防ぐ」
 

話を戻しますが、施工会社が自社で行う検査は機能していないし、正当性に欠けてしまう、また、行政が行っている検査は意味がないとなると、どうすれば良いかというと、やはり第3者による検査が必要になってくると考えます。第3者による検査というのもいろいろ出てきていますが、本当に第3者のポジションを守りつづけることは難しく、株式会社をはじめとする営利企業では不可能でしょう。前に書いた性能評価機関も第3者とうたっていますが、この程度です。第3者というポジションは、国や行政が行うものではなく、まして需要者と一緒になって施工会社を相手にするようなものではなく、施工会社にとっても納得いくような正当性がきちんと話せるかと言うところにあると思います。一般の人では見つけられない部分であるとか、目に見えなくなってしまう部分などを、専門家の目をもってチェックし、欠陥住宅に結びつかないようにすることで、施工会社または職人さんにもわかるように話が出来ることが第3者であると考えます。前にも書きましたが、施工監理、設計監理などにより、契約書通りの建物を、一定の施工規準にのっとって作り上げることは、施工会社若しくは、監理者が責任を持って行う必要があるわけです。そこに第3者の検査を入れていくことで、安心と安全が確保されると思います。第3者としての検査内容にもいろいろな意見があると思いますが、我々が推奨するポイントは、一つは構造的な部分でありながら、後からでは見えなくなってしまう部分であるとか、一つは住宅の基本的な雨漏り防止、水漏れ防止、又は、それらの早期発見できるポイントであると考えます。表に出る部分や、仕上げの部分の不都合は欠陥と言えず、建て直すしかないような現象だけが欠陥住宅であるといえると思います。


(5)建て主の責任

それでは、良い施工会社を選び、第3者による検査を入れれば「よい家づくり」ができるかと言うと、残念ながらそれだけでは足りません。
家づくりは誰のものかというと、建てぬし(施主)の行う一大事業であると言えます。
その一大事業にお手伝いし、バックアップするのが設計者、施工会社、第3者検査だと思います。
自分のことと受け止め、自ら現場に足を運び、楽しい家づくりをしてもらいたいと思います。
ある調査によると、建てぬしが現場に行く回数は、平均30回だそうです。
120日の工期があるとすれば4日に1回見ている計算になります。これを多いと感じるか、少ないと感じるかは読者に任せますが、そのときに何を見てくるかが重要です。
どんな現場でも小さいミス、うっかりミスがつき物だと書きましたが、この小さいミスを小さいうちに見つけて直していくことが重要です。
これは、どんな立派な技術者であっても、自分の見方というものがあって、他の人が見ることで気が付くことというのが結構あります。ここでの現場の見方については、別の章で書いてありますが、せっかくの家づくりですから、ちょっと気になったことはすぐに確認し、納得したうえで進めてもらう必要があると思います。
やはり、職人さんには聞き辛いとなれば、その監理者や検査機関に聞いてみるのもいいと思います。そうやって気軽に相談できるところを見つけておくことも必要でしょう。
建てぬし自ら現場を見るというのは、職人さんとのコミュニケーションと言う意味もありますが、自分が家づくりの主役であると言う認識を高めるためにも必要なことだと思います。
建てぬしも施工現場の責任の一端は持っていても良いのではないでしょうか。


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