関西・東海・九州支部 活動ブログ

全国の会員が日々の相談・検査・設計・研究などの活動から皆さまに役立つ事例、家づくりに関する地域の情報、社会情勢ニュースに対する専門家としての意見などを発信していきます。

◆マンションの帖数表示にご注意

マンションのパンフレットやチラシで部屋の帖数表示を見ることがあります。


どこからどこまでの面積を測ったものかご存じでしょうか。


部屋の内側の寸法ではありません。




建築基準法では、床面積は、壁や柱の中心線で囲まれた部分の水平投影面積とします。

それに基づきパンフレットの帖数表記がされているのです。

特にマンションの場合はご注意ください。



マンションの構造は、鉄筋コンクリートが多く、

高層になればなるほど大きな柱型となります。

なるべく柱が見えないように設計をするのですが、

どうしても室内に柱が出てくる場合があります。



実はこの大きな柱型が部屋の面積に含まれ帖数となっているのです。

実際の面積とは大きく違ってきます。

下記の赤の点線で囲まれた面積が表示の帖数(約5.0帖)となっています。

大きな柱型が部屋内に出てきていますので

実際の広さは半帖程狭くなります。

マンション購入をご検討の方は、この数字のマジックにご注意あれ。



1帖は、1.62㎡としています。

たたみ1畳の寸法を1.8ⅿ×0.9ⅿ=1.62㎡が根拠となっています。

因みに「畳」は、主に和室。

「帖」は洋室・和室どちらにも使う表記として使われることが多いようです。



関西:鉢嶺 民雄



鎹(かすがい)

建築用語には、ことわざになったものも多くあります。

その中のひとつが、鎹(かすがい)です。

見慣れないこの一文字で「かすがい」と読みます。




「子は、かすがい」の「かすがい」がこの『鎹』なのです。

どういう意味かと言いますと、

子に対する愛情が鎹になって、夫婦の間がなごみ、夫婦の縁がつなぎ保たれる。

また夫婦仲が悪くなろうともそれを繋ぎ止めるのが子(鎹)ということです。

「子は、親の鎹」ともいいます。



それでは、『鎹』とは一体なにか?


木造在来工法の住宅で用いられるコの字型の補強金物で、

両端が釘の先のように尖っている金物のことを言います。

これを木材に金槌で打ち込むことによって、木材同士を繋ぎ止めます。



さて、この鎹が家のどこに使われているのでしょうか。


現在では、主に床下や屋根裏に多く用いられています。

屋根裏の小屋束を繋ぎ止めたり、母屋の接手の緊結に用いたりします。


梁の上に立てる小屋束は、屋根裏の柱のようなもので、

その上下を両サイドから鎹を打ち付けるのです。



欠陥住宅予防検査の上棟検査で、鎹の打ち忘れを見付けることがあります。

床下や屋根裏は完成してからでは、

なかなか見る機会がないので重要な検査となります。

施工中にリアルタイムで行う検査が欠陥住宅予防検査なのです。







関西:鉢嶺 民雄


材のつなぎ目の金属が「鎹」


筋違(すじかい)


家の構造材のひとつで『筋違』というものがあります。




「すじちがい」ではなく、「すじかい」と読みます。

最近では、間違った字『筋交』が使われていることよく目にします。

ハウスメーカーの図面や木材加工専門であるプレカット業者さえ

『筋交』と図面に書いている。



文字・漢字はそれぞれが意味を持っています。

交わるのではなく、違える(たがえる)のです。

それが『筋違』なのです。



パソコンで手軽に漢字変換すると『筋交』の文字が出てくるので

何の疑いもなく使ってしまっているのが現状ではないでしょうか。



「建築大辞典」(彰国社)には、きちっと『筋違』と書かれており、

筋違とは、四辺形に組まれた軸組に対角線状に入れた補強材。

風や地震力などによる水平力に抵抗し、四辺形が菱形に変形するのを防ぐ。

と記されている。



また、建築基準法施行令第45条は、

残念ながら漢字ではなく、ひらがなで『筋かい』と書かれている。

これには何故?と思ってしまう。

建築基準法は、いわゆる専門家が使う法令集なので『筋違』と漢字で

表現してほしいものです。



その施行令45条には、筋違について下記のように記されています。(抜粋)

・圧縮力を負担する筋かいは、厚さ3㎝以上で幅9㎝以上の木材を使用したものと

しなければならない。

・筋かいは、その端部を柱とはりその他横架材との仕口に接近して、

ボルト、かすがい、くぎその他の金物で緊結しなければならない。

・筋かいには、欠き込みをしてはならない。ただし、筋かいをたすき掛けにするために

やむを得ない場合において、必要な補強を行ったときは、この限りでない。




もう少し日本の木造建築を大切に正確に伝えていってもらいたいものです。








関西:鉢嶺 民雄


斜めの材が「筋違」


捨てコン ~捨ててはいけません、必要です。~  

基礎工事において鉄筋を組む前に行う地業(ちぎょう)工事。

指定の深さまで土をすき取ったところに砕石を入れ、突き固める。

そして湿気が上がってこないように防湿シートを全面に覆い被せる。



本来ならその上に捨てコンクリートといわれる厚さ5センチほどの

コンクリートを流し込み固める。略して「捨てコン」といいます。

そうすることにより、捨てコンの上に墨を打ち、基礎の通りを正確に出せます。

また、コンクリートの被り厚さの6センチもキッチリと確保できます。

この捨てコンがないと、防湿ビニールに直接墨を打ったり、

被り厚さが正確に確保できなかったりするのです。



写真のように作業員の体重によりスペーサーがめり込み、

必要な被り厚さ6センチの確保できていません。

大手ハウスメーカーでは、少しでも原価を抑えようと、

外周部(外壁の下)だけに捨てコンを打設し、

内部は捨てコンを省略している現場を多く見掛けます。

基礎の検査に行くたびに、現場監督や職人さんに

「捨てコンが無いと墨も打ちにくいでしょう?」

「施工精度も良くならないでしょう?」

「施工能率も上がらないでしょう?」と伺うと、

全員が口をそろえて、

「実は、そ~なんですよ、でも会社が決めていることなので・・・・・」

将来にわたり長持ちするいい家を造るためには見えないところを

キッチリと施工することが肝心です。



お客さんの為といいながら、お客さんのためにならない施工は如何なものか。

皮一枚、仕上の見た目ばかり、素人受けの家づくりはもうやめた方が良い。



昔から行われている施工材料や施工方法、施工範囲には理由や意味があるのです。

名称は捨てコンですが、「捨てコン」は決して捨てるべきではありません。

いい家づくりには、絶対必要なのです。



関西:鉢嶺 民雄



床合板 ~畳からの発想~

 木造住宅において壁は筋違(すじかい)を入れたり、合板を貼ったりすることで耐力壁となり、

地震や台風に抵抗することは良く知られていますが、床も構造的には一役買っているのです。


 壁が鉛直方向の構成に対して床は水平方向に構面を造り、外力に抵抗するのです。

厚さ24mmや28mmの構造用床合板が使われることが多くその施工の方法、張り方があるのです。

通称千鳥貼り(ちどりばり)といわれ、継ぎ目が十の字にならないように貼ると

全体が1枚ものとなり合板がずれにくく、力を発揮するのです。


 これは、屋根面も同じことです。

元を正せば、実は日本の伝統的な畳の敷き方からヒントを得ているのです。

合わせ目が十字になるように畳を敷くと、力が掛かった時にずれやすく、畳自体のもちも良くない。

十字にならないようにT字に敷詰めるとずれにくく、長持ちをする。

美観的にも美しく、実利を伴った方法なのです。


 また、合板が規格品であるかどうかは、ホルムアルデヒドの放散量や材寸等々の記入と

日本農林規格(JAS)の刻印がされ、認定品の確認ができるようになっています。


 現場に行かれた際には、一度注意深く観察して見て下さい。


関西:鉢嶺 民雄