関西・東海・九州支部 活動ブログ

全国の会員が日々の相談・検査・設計・研究などの活動から皆さまに役立つ事例、家づくりに関する地域の情報、社会情勢ニュースに対する専門家としての意見などを発信していきます。

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契約 ~急がせる相手には要注意!~

 家を建てるのは、ほとんどの人が初めてです。


 プロであるハウスメーカーの営業マンから

「皆さん、そうされていますよ。」とか、

「そういうものですよ。」と言われると、そんなものなのかな?と思ってしまう。



 営業マンが自分の成績となる契約件数を確保するために、常套句として、

「決算期なので今月中に契約をお願いします。」

「後からきちっとしますから取り合えず契約書に判を押して下さい。」

 お客さんのためと言いながら、全くもって自分のためなのです。



 契約を急がせる相手には特に注意して下さい。

 一旦判を押してしまうと元には戻れません。

 何百万円もの手付金を捨ててまで解約をするのは難しいのは自明です。

 ほとんどの施工業者やメーカーは、前もって契約書のひな形をお客さんに提示しない。

 契約日当日に初めて契約書を見るという人が多いのが現状です。

 遠慮しすぎは後悔の元。



・言うべきことは言い、確かめるべきことは確かめる。

・何千万円もの出費、何十年ものローン返済、何も遠慮することはありません。

・建築の専門家ではないので分からない。大丈夫です一般常識の判断でOKです。

・納得いくまで説明を求める。

・こんな事を言ったら相手(営業マン・現場担当者)が気を害さないか、

こんなことを言ったら嫌われないか。一切気にする必要はありません。

・いい子になる、ただの物わかりの良さは、営業マンにとって「いいお客さん」

でしかない。やり易い、楽なお客さんとなってしまいます。

・いいかっこはせずに分からないこと、納得できないことは、

とことん納得いくまで聞くことが大切です。



 任せっきり、信じ過ぎは、あなたの思い描く「いい家」には決してなりません。

 一生に一度の家づくりです。

 初めての家づくりをプロの建築士としてサポートをするのがイエンゴです。

 些細なことでも不安な時は、イエンゴにお気軽にご相談ください。

関西:鉢嶺 民雄


現場監督の仕事

 家を建てる際に現場監督が行う仕事は、大きく分けて、

 1.工程管理
 2.予算管理
 3.安全管理
 4.品質管理

と4つあります。


 1.の工程管理は、引き渡し日に間に合うように日程・工程を管理すること。

 2.の予算管理は、契約金額内で現場が納まるように原価管理をすること。

 3.の安全管理は、職人さんが安全に作業できるようにすることや

近隣の方の安全を確保することです。

 どれも大切なことですが、建て主にとって最も大事なのは、

やはり4.の品質管理ではないでしょうか。



 それが、現場サイドでは品質管理ではなく、引き渡し日を厳守するということに

重きを置いているようです。特にハウスメーカーでは顕著です。


 なぜハウスメーカーが工程管理を重視するかというと、

建て主さんは、賃貸住宅や仮住まいの方が多く、

引き渡し日が遅れると即、追加家賃が発生してしまい、クレームとなる。


 その結果、施工業者の家賃負担となってしまうからです。


 現場担当として沢山現場を持たされているハウスメーカーの現場監督は、

一番大切な品質のチェック、管理を行う時間が無いのが現実なのです。

その結果、現場を職人さんに任せっきりにしていることが実は多いのです。


 誰のチェックも受けずに現場が進み、完成してしまう。

 従って要所要所でしっかりとした第三者のチェックの目・検査が必要なのです。

 必須と言っても過言ではないかと思います。


 何事もそうですが、一人の目だけではなく、

 違う目で確認を行うダブルチェックが現場では特に大切なのです。

関西:鉢嶺 民雄


穴の周りをテープしてあるが、隙間があり雨漏りしてしまう。


断熱材  ~その意味を考える~

 この写真は屋根面への発泡ウレタン吹付断熱材の施工写真です。



 先に直径150mmのアルミ製フレキシブルダクトを取り付けたために、

断熱施工業者がそのままダクトを埋め込むように発泡ウレタンを吹き付けてしまったようです。



 監督さんのチェックがなされていなかった現場といえます。



 断熱材は基本的に外気に面する部位に施工しなければいけません。

このダクトがあることにより、最も熱負荷がかかる屋根面の断熱欠損となっています。



 このまま天井の石こうボードを貼ってしまえば、

断熱材施工不良部分は隠され、分からなくなってしまいます。



 現場のチェックにおいて大切なことは、

その時、そのタイミングでないと確認出来ないことがあることです。



 また、キッチンのレンジフードの排気ダクトだったので、

冬場には料理から出る温かい湯気を排気するとダクト内で外気に冷やされ、

結露が発生し、レンジフードから水滴がぽたぽたと流れ出る可能性もあります。



 以上のようなことを現場で説明をすると、

イエンゴに検査を依頼された方から、施工業者さんへ改善の指示を出され、

一旦ダクトを外し、正しく断熱材を施工し直し、

本来あるべき姿に是正をされました。



 イエンゴでは、現場検査の際には、依頼者の方に立ち合いをお願いしています。



 今回の様な場合も現場で検査結果の説明を行い、また是正の指示もその場で

出せますので、施工中のロスタイムも少なく現場の改善が出来ます。



 施工中の現場には、第三者の目が大切なのがお分かり頂けるかと思います。


関西:鉢嶺 民雄


窓がないトイレ ~ほんとにいいの?~

 マンションでは角住戸でない限り、両側はお隣と分厚いコンクリートの壁で仕切られている。

 部屋のレイアウト上、居室が優先され、トイレや浴室はどうしても真ん中の方へ追いやられ、窓のないものになってしまう。

 これは、マンションの致し方ない宿命的なところです。

 ところがどうだろう最近、誰が流行らせたのか、

自由に設計できるはずの一戸建て注文住宅でも窓のないトイレや

浴室が度々見られるようになってきた。

 ここ数年現場検査に行って特に感じることです。

マンション住まいに慣れた方は、違和感がないのだろうか?

普段設計に携わるものとしては、全く考えにくいことです。

 現場で関係者に色々聞き合わせると、

・トイレ、浴室に窓を付けると追加になります。

・窓が無い方が冬場寒くないですよ。

・換気扇を付けていますので大丈夫ですよ。

等々の都合のいい説明でお客さんを納得させているようです。


 今や窓が付いていないのが標準仕様となっているのか?

トイレや浴室を窓なしにすればプランニング(間取り)が楽に出来ます。

現場だけではなく、設計においても手抜きを始めたのか!?


 休日の昼間に入るお風呂。

光が差し込み、リラックスして気持ち良く湯船につかる。

勿論、窓があるので換気も良く出来ます。

トイレにしても同じです。


 窓が無いと昼間でも電気(照明)を点けなければいけない。

換気扇だけでは臭いも抜けにくい等々・・・・・。


 トイレやお風呂の水回りは、換気・採光・居心地に重きを置き、気持ちよく使いたいものです。

トイレ・浴室こそいつもきれいに清潔にしたいものです。

やはりトイレには、窓があるべきでは?

関西:鉢嶺 民雄


捨てコン ~捨ててはいけません、必要です。~  

基礎工事において鉄筋を組む前に行う地業(ちぎょう)工事。

指定の深さまで土をすき取ったところに砕石を入れ、突き固める。

そして湿気が上がってこないように防湿シートを全面に覆い被せる。



本来ならその上に捨てコンクリートといわれる厚さ5センチほどの

コンクリートを流し込み固める。略して「捨てコン」といいます。

そうすることにより、捨てコンの上に墨を打ち、基礎の通りを正確に出せます。

また、コンクリートの被り厚さの6センチもキッチリと確保できます。

この捨てコンがないと、防湿ビニールに直接墨を打ったり、

被り厚さが正確に確保できなかったりするのです。



写真のように作業員の体重によりスペーサーがめり込み、

必要な被り厚さ6センチの確保できていません。

大手ハウスメーカーでは、少しでも原価を抑えようと、

外周部(外壁の下)だけに捨てコンを打設し、

内部は捨てコンを省略している現場を多く見掛けます。

基礎の検査に行くたびに、現場監督や職人さんに

「捨てコンが無いと墨も打ちにくいでしょう?」

「施工精度も良くならないでしょう?」

「施工能率も上がらないでしょう?」と伺うと、

全員が口をそろえて、

「実は、そ~なんですよ、でも会社が決めていることなので・・・・・」

将来にわたり長持ちするいい家を造るためには見えないところを

キッチリと施工することが肝心です。



お客さんの為といいながら、お客さんのためにならない施工は如何なものか。

皮一枚、仕上の見た目ばかり、素人受けの家づくりはもうやめた方が良い。



昔から行われている施工材料や施工方法、施工範囲には理由や意味があるのです。

名称は捨てコンですが、「捨てコン」は決して捨てるべきではありません。

いい家づくりには、絶対必要なのです。



関西:鉢嶺 民雄