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 家を建てる前に読む本 家づくり援護会[編]          もくじ第1章第2章第3章第4章第5章第6章第7章

第4章 理想の家づくり @

第4章 理想の家づくり
「家」って何だろう
家と巣の違い
家族のあり方を決定する家づくり

よい家の条件を考える
本当の100年住宅とは?
問題を招く「LDK幻想」
家は家族の記憶装置

自己表現としての家づくり
うだつをあげる
家づくりはマイペースで
家づくりの主役交代

自分の家は自分でつくろう!
家づくりは創造的で、刺激的
間取りプランは自分で描こう
人生80年時代の家づくり
建築士との上手な付き合い方

ライフシートを作る
家族でアイデア会議
ライフプランニング(将来設計)
設計の手順と方法
自主設計を応援します

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「家」って何だろう

家と巣の違い

さて、ここまで家づくりにまつわるさまざまな問題とその対処法について説明してきましたが、家づくりにおいて何よりも大事なことは、どのような家を建てたいか、どういう家に住みたいかというイメージをしっかりともつことです。そこで本章では、少し基本に立ち返って、「家」とは何か?なぜ「家」を建てるのか? ということを考えてみたいと思います。

まず、人間の住む家と動物の棲む巣との違いについて考えてみましょう。
地球上に棲息する動物の多くは巣を作りますが、いうまでもなく巣作りは出産と子育てに深くかかわっています。たとえば、鳥の巣づくりは産卵直前に始まり、ヒナの巣立ちまでの期間、営巣が続きます。ところが、この巣は一時的なもので、ヒナが巣立ちしてしまうと、親鳥はさっさと巣を放棄してホームレスの生活に戻ります。というのも、巣での生活は野生動物にとってあまり快適なものではなく、むしろ危険に満ちた場所だからです。自由に動けない子育て中の親は、外敵にありかを知られ、餌場を制約され、環境の変化にも対処しにくくなるという、大変なリスクを背負いながら巣での生活を送っているのです。営巣中の鳥は気が立って恐ろしいといわれますが、それはおそらくこうした命がけの緊張感の中で必死に巣を守っているからでしょう。
一日も早く子供を巣立ちさせ、親子の縁を切り、次の季節にはまた新しい巣を作り子を産み育てる。このように野生動物の世界には、一つ屋根の下で巣を守り家族仲よく暮らすというイメージはないようです。

人間の場合も、子供が一人前になれば親離れしますが、よほど手に負えない子供でもない限り親子の縁を切ることありません。それどころか「いくつになっても親は親」といって、親は子供のために財を蓄え、家系を盛り上げ、子々孫々の繁栄を願います。
 私たちが家づくりを考えるとき、家を建てることによって自分が死んだ後も子供たちによって家が引き継がれていくというイメージを浮かべる人は多いはずです。「家系」という言葉がありますが、これは血の繋がりだけを意味するのではなく、家を媒体として生きるための知恵や技術、あるいは家族固有の文化、財産を伝承し次世代に繋ぐという歴史的な意味合いも持っています。この意味で、動物の巣と人間の家とは、その意味するところがまったく異なっているといえるでしょう。



家族のあり方を決定する家づくり

日本人は古来、強い絆で結ばれた人間関係を「○○一家」というように表現してきました。家というものは、寝食を共にし、艱難辛苦を共に乗り越える運命共同体の単位として考えられてきたのです。

そうした考えをもっともよく体現しているのが、飛騨高山・白川郷の合掌造りです。この地方の人々は、合掌造り独特の大きな屋根の下で家長を中心に大家族が同居していましたが、苛酷な生活環境の中で家を守っていくためにはこれが一番適した形だったのでしょう。

ところが、第二次大戦後、ことに高度経済成長期以降、こうした大家族は急速に姿を消していきました。都市を中心に、核家族化、少子化の傾向は年を追うごとに強まり、一九九〇年には世帯あたり平均家族数は二・九九人と、史上初めて三人を割ってしまいました(表7)。単身所帯を含め、家族構成員の少数化と細分化は着実に進んでいます。家が家族の歴史を継承する媒体であるという考え方は、現代ではもう通用しないのでしょうか。

さらに近年、少人数家庭でありながら、夫婦、親子といった家族間のコミュニケーションがうまくいっていないために起こる不幸な事件が後を絶たず、その大きな要因として家のつくり方に問題があるのではという指摘もされています。もちろん、家のつくり方と家族の崩壊をただちに結びつけるのは危険ですが、家のつくり方と家庭のあり方とが不即不離に結びついていることは事実です。

こうしてみると、家づくりというものが家庭の生活にとっていかに重要なことであるかがわかると思います。ともすれば箱づくりに傾斜しがちな家づくりですが、このような時代だからこそ、子育てのヴィジョン、夫婦の関係、老後の生活、子孫への伝承など、時間のスパンを広げて、一家の歴史づくりにまで思いを馳せてみることが必要なのかもしれません。


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