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 家を建てる前に読む本 家づくり援護会[編]          もくじ第1章第2章第3章第4章第5章第6章第7章

第3章 第三者機関参加の家づくりを提案します @

第3章 第三者機関参加の家づくりを提案します
家づくり環境の変質
無理な契約、無茶な工事が急増
あの手この手の家づくり商法

より公正な施工請負契約のために
ずさん契約はトラブルのもと
業者に都合のいい契約書
業者によってまちまちな契約書
より公正な契約のために
イエンゴ施工請負契約書
あるべき契約のあり方

第三者による施工検査のすすめ
チェックの甘い社内検査
穴だらけの公的検査
大手メーカーに都合の良い
住宅性能評
第三者検査はこれからの流れ

オンラインセミナーとの相違点
1.詳しい図版が20ページ以上!
2.最新の法改正などに対応済み!
3.付録として推薦施工業者一覧!

家づくり環境の変質

無理な契約、無茶な工事が急増

 昭和30年代の後半ごろまでは施主(家を建てる人)と施工者(家を造る人)の関係はきわめて良好だったといえるでしょう。ほとんどの場合、施主は地元で代々家づくりを業としてきた、大工、棟梁を施工者として選び、契約など交わさず、おおよその予算と竣工時期を口約束で確認し合えばそれで万事遅滞なく進んだものです。アフターケアも大きな台風が来ると、その前後に頼みもしないのに見回ってきて、心配な部分に手を加えて帰っていくのが普通でした。

 昭和40年代に入り、日本が本格的な高度成長経済モードに入ると、いわゆる持ち家制度と言われる住宅産業振興策がとられ、ピーク時には年間180万戸を超える旺盛な需要を背景に、住宅は儲かる産業に変身したのです。住宅建設は町の棟梁の手から、大規模なハウスメーカーの手にと移りました。余談ですが、我が国のように大規模なハウスメーカーが存在するのは世界広しといえども日本だけの現象です。それこそ政官民一体となって住宅メーカーの育成に力を注いだ結果です。しかし、これがその後の日本における家づくりの環境をきわめて特殊なものに変えてしまったということができます。

 東京のような大都市周辺でも昭和30年代までは存在した、施主と施工者の信頼関係にもとづく家づくりは姿を消し、施主と施工者の関係は顧客と企業という新たな需給関係に置き換わり、この両者を結ぶものは信頼関係ではなく契約関係にとって代わりました。変化はこれだけではありません。家づくりが企業化し、産業化したことによって、住宅建材や、施工技術が変化し、より大量生産に適した方法が主流を占めるようになりました。それまで伝統的な建築技術で家づくりをしてきた大工、左官といった職人技は衰退し、工場生産のパネルを現地で組み立てるだけのいわゆる組立て屋といった人種が誕生しました。カンナを持たない大工さんなんて普通という、嘘のような本当の話はまさに現代日本の家づくりの状況を物語っています。自前では食べられなくなった町の大工さんは大手の傘下に入り、下請けとして建材から施工法まで逐一メーカーの指導のもとに家づくりをするという情けない状態に陥っています。

 とくに近年、住宅需要は減少傾向に入り、企業間の生き残りをかけた競争の激しさは想像を絶するものがあります。つい最近、大手ハウスメーカーの殖産住宅や太平住宅が倒産したのは記憶に新しいところです。このような状況の中、企業間の顧客獲得競争はエスカレートするばかりで、無理な契約、無茶な工事が急増しており、家づくりにかかわる訴訟件数もうなぎのぼりに増えているというのが現状です。



あの手この手の家づくり商法

 消費経済が発達するにつれて、住宅産業は単純に大工さんが建てていればすむ時代から、設備、家具、家電、といった広範囲な消費をともなう魅力的な産業として注目されるようになりました。結果として、本来家づくりとは関係のなかった不動産業、鉄道業、製造業、はては自動車産業までがこの市場に参入してくるようになりました。また、これまで考えも及ばなかったような顧客獲得のためのあの手この手の商法も誕生してきました。新聞やテレビでの広告をはじめ、様々なキャンペーンで客の歓心を買い、客のほうも、まるで自動車や家電製品と同じ感覚で住宅を購入することに抵抗を感じなくなっています。住宅供給の方法も業者にとってよりリスクの少ない売り建て方式とか、建築条件付土地売り方式といったような新商法が登場してきました。

 こうした需給関係の多様化は、住宅需要者にとっては住宅取得の選択肢が広がったように見えますが、反面、住宅産業の仕組みに暗く、商品鑑別の術を持たない需要者にとってはきわめて冒険的な売買行為に引き込まれる結果にもなります。 

 現に、家づくり援護会に相談に見える方の大部分は、いわゆる大量生産、大量販売を行っている業者や、売り建て方式、建築条件付土地売り方式といった方法で住宅を購入した人たちからのもので、注文住宅で家を建てた人からの相談はきわめて少ないのです。相談の内容も多彩で、契約不履行、業法違反、第三者検査の拒否、手付金返還の拒否、検査データの開示拒否、詳細見積りの未提出、契約強要……よくもここまでと思いつく限りの悪知恵のオンパレードです。こうした悪賢い業者は、どう頑張っても素人が太刀打ちできる相手ではなく、切羽詰っての相談となるわけです。

 家づくり援護会が進める需要者サポート活動は、対処法的に家づくりにともなうトラブルを未然に防ぐ手助けをする一方で、もっと積極的に、家づくりの仕組みとして家づくりから不正、不明瞭をなくしていくことを目標としています。また、建築士に対する不満、不信も根強く、対業者との関係に限らず、対建築士との関係をサポートする活動も視野に入れています。 

 この章では、私たちが第三者的な立場から、家づくりのトラブルを防ぎ、仕組みとして家づくりの不公正、不明瞭を正す役割について具体的な提案をしていきたいと思います。


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※実際の書籍の内容とは異なる場合があります。
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