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 家を建てる前に読む本 家づくり援護会[編]          もくじ第1章第2章第3章第4章第5章第6章第7章

第3章 第三者機関参加の家づくりを提案します B

第3章 第三者機関参加の家づくりを提案します
家づくり環境の変質
無理な契約、無茶な工事が急増
あの手この手の家づくり商法

より公正な施工請負契約のために
ずさん契約はトラブルのもと
業者に都合のいい契約書
業者によってまちまちな契約書
より公正な契約のために
イエンゴ施工請負契約書
あるべき契約のあり方

第三者による施工検査のすすめ
チェックの甘い社内検査
穴だらけの公的検査
大手メーカーに都合の良い
住宅性能評
第三者検査はこれからの流れ

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第三者による施工検査のすすめ

チェックの甘い社内検査

契約のトラブルとともに多いのは、施工ミスについてのトラブルです。しかし、第一章でも述べたように、そのほとんどは注意していれば簡単に防げる「うっかりミス」なのです。現場監督の行っている仕事を客観的にチェックするために施工会社では施工検査を実施することが普通です。しかし、専門の検査員を置いて定期的に検査を実施しているという会社でも、額面どおりに受け取れないのが実態です。

施工会社によっては検査部門が独立して、実際の現場担当とは違う目で検査を行っている場合もあります。また、現場担当者の上司、もしくは代表者が検査を行っている会社もありますが、どちらも同じ会社の従業員が検査していることに変わりはありません。同じ会社である以上、会社の事情が優先されたり、身内同士の甘えが生まれたり、また、現場の優劣がつけられたり(儲けのいい現場を優先する)、同時に数カ所の検査が重なったり、さまざまな事情で検査がおろそかになることは否めません。施工検査を会社業務の中でどう位置づけるかによって、対応はまるで変わってきます。

社内で検査機関を設置している会社でも、第一線の人材を検査部門に配置しているのはまれです。なぜなら検査部門は金を稼ぐセクションではなく、ややもすれば仕事を止め、やり直しを発生させるポジションですから、そんなところに能力のある人を配置したらマイナスの仕事が増えてたまりません。また、検査マニュアルや、検査報告書など一応整備している会社も多いのですが、その通りに厳密に検査を行えばたちまち工事に支障を来しかねず、有名無実になっている例も多く見受けられます。

最近、農水省や外務省で行われている行政内部の不正行為に対する内部調査に対して多くの批判が集まっていますが、悪くいえば泥棒に縄をなえといっているに等しく、自分たちのしている仕事を自分たちで調べ、厳しく律することの難しさは誰しも理解できることと思います。施工会社自身が「わが社は検査をしているから安心です」といったところで、どこまで信用したらいいのか難しいところです。それでは、現場で行われている他の「検査」について見ていくことにしましょう。



穴だらけの公的検査
 

公の行っている施工中の検査としては、金融公庫の中間検査、特殊建築物などの特定工程の検査、建築基準法で決められている完了検査などがあげられます。

金融公庫の中間検査は、文字通り住宅金融公庫の融資を受ける場合に、建築確認申請や金融公庫の仕様に基づいて施工されているか否かを確認するもので、一般には、特定行政庁が代行して行います。検査としては、建物が建ちあがって、金物・筋交い・断熱材などの施工が完了した段階で、現場に来て検査をします。ただし、ここでの検査は、法的に適合しているか否かであって、出来栄えや、施工精度を見るものではありません。したがって、違反建築の防止はできても、欠陥住宅の防止にはなり難い面があります。なおかつ、実際に現場の検査時間はわずかで、ひどい時は五分程度で済ますことがあります。これでは「見た」というだけで検査したことにはなりません。
 この検査は金融公庫の融資を受ける場合の絶対条件になりますから、検査に合格しないと融資が実行されません。よい悪いは別として、義務的に検査を受けているのが現状です。

次に、特定工程の検査です。これはその地区の行政庁がそれぞれ定めている建築物に対して行っている検査です。たとえば、木造の三階建て以上のものや、共同住宅、木造とRC造〔鉄筋コンクリート造〕などの混構造建築物の場合であり、通常の木造二階建て、専用住宅などは対象となっていないことが多いようです(行政庁によってはすべての建築物に対して行っています)。内容としては、基礎の配筋時〔コンクリートの張力を増すために基礎中に鉄筋を入れる〕、上棟時など、二回程度の検査で、検査費用も別にかかります。ここでは、構造的に問題がないかどうかが検査対象であるため、構造計算通りの施工がされていて、金物などが適切な場所に使われていればよしとします。ここでも、出来栄えや、施工精度については検査対象外ですが、構造的な問題については欠陥の発生防止になっています。

最後の完了検査は、建築基準法に定められている、工事完了にともない検査済証を取得するため行う検査です。これは、建築確認申請により許可された建物はすべて受けなければいけないものです。前記の特定工程の検査対象建物は、特定工程の検査に合格していなければ検査済証は取得できません。しかし、残念ながら、法で決められている検査にもかかわらず、実際に検査を受け検査済証を取得している建物は、非常に少ないのが現状です。時には、施主の希望で設計変更をし、結果的に違反建築物になってしまうという理由で検査を受けられない場合も多々あります。施工会社にとっては、検査済証の取得について施主が了解していれば取らなくてもよいという風潮もありますが、検査を受けないための逃げ口上にすぎません。理由を問わず検査を受け、検査済証をきちんと取ることをおすすめします。

このように、行政が行っている検査は違反建築の防止が第一であり、なおかつ、すべての施工段階で検査を行うわけではないので、実際には法の網の目をかいくぐるような施工現場が多数存在します。現実に住宅金融公庫の検査を受けた建物でも、欠陥住宅となってしまった例もあります。



大手メーカーに都合のよい住宅性能評価

2000年4月1日に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律」の定めにより、住宅の瑕疵担保期間〔瑕疵保証が約束されている期間〕が10年となり、任意選択としての「住宅性能評価」をできることになりました。この「住宅性能評価」を行う指定住宅性能評価機関は、財団法人や株式会社等で日本全国に配置されています。しかし、国が新しくつくった法律でありながら、実際に家づくりを考えている国民が欲しいものとは程遠く、施行されて2年を経過してもほとんど活用されていないのが現状のようです。

これにはさまざまな理由がありますが、ことに大きいのは、この性能評価制度が大手ハウスメーカーに有利であり、一軒一軒を手づくりでつくっている建設会社や地場工務店には対応しきれない制度になっている点です。その他にも、工場規格品として生産されたものはすべて同じ評価となるという考え方、また、指定住宅性能評価機関には株主に大手ハウスメーカーの名前が連なっている事実があり、第三者性がまったく欠如していることなど運用面で多くの問題を抱えています。

住宅にとってこうした性能評価制度が必要なのかとなると、残念ながら現状の基準では不十分と考えざるをえません。性能の基準設定も、今までよいとされてきた金融公庫仕様程度が最低基準となっています。今までよいとされていたものが5段階評価の最低ランクに評価されるとしたら、一般需要者はそれを甘受できるでしょうか。供給者側が制度を活用するとなると、他社と比較して一つでも上のランクを目指して商品作りを競うことになりかねません。いい換えれば、性能評価ランクは金で買うことができる、つまり、ランクの高い住宅は高性能住宅として高い価格で売れるということです。それでなくても高いといわれている日本の住宅価格をさらに押し上げかねないのが、この「住宅の品質確保の促進等に関する法律」なのです。

性能評価の方法についても、間取りによる壁の取り方、窓の大きさ、使用する建材による火災の対応、空気環境、断熱性能などが対象になっているため、大手ハウスメーカーが行っているような一定の規格による設計、仕様であれば、規格認定を取ることで検査書類、検査回数が削減されスケールメリットが期待できます。それに比べ、自由設計であったり、顧客の希望で一棟ごとに違う仕様で建てる場合は、そのたびに膨大な書類作成が必要となってきます。そういう意味でもこの性能評価は、大手ハウスメーカーにきわめて都合のいいものになっているといえます。

また、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」による性能評価は、設計部分と建築部分に分けられますが、合わせて15万〜20数万円が検査費用としてかかってきます。しかし、先にも述べたように、性能評価を受ける場合、膨大な書類作成を施工会社が行わなければなりません。この作業部分の費用に30万円を超える人件費がかり、中小の施工会社にとっては大変な負担となります。性能評価機関同士が価格競争やサービス競争で利用者の増加に努めていますが、需要者および施工業者の負担を軽減する形での制度改革がない限り制度の普及は見込めないのが現状です。



第三者検査はこれからの流れ

施工会社が行う自社検査は多くの問題を抱え、また、公が行っている検査も実態との間で齟齬を来していることが理解できたと思います。しかし、家づくりからミスをなくし、欠陥住宅の悲劇を招かないためには適正かつ一定の規格に基づく施工検査が不可欠であり、さらに需要者、施工者両者にとって負担のかからない形での検査システムでなければ普及しないということも明らかです。

その一つの解決策が、私たちのようなNPO法人(特定非営利活動法人)による検査活動の実施です。先に述べた契約書の作成と同様、これまで施工会社自身が行っていた検査では自己矛盾を起こしますし、公の行う検査は業界への配慮を捨てきれず徹底を欠く嫌いがあります。NPO法人はこの両者とは異なる第三の社会セクターとして、ニュートラルな第三者的な立場からの検査活動にはうってつけであると考えています。

第三者という立場は、本来施工会社が行うべき施工の管理・監督業務を肩代わりするということではありません。施工現場の管理維持について施工会社が責任を負うことは当然です。私たちの役割は、工事過程で隠されてしまい、後日重大な欠陥住宅のトラブルに発展しかねない部分の検査および検査記録の保存を第三者の立場で行うということです。これは、施工の透明性を高める上でとても大事なことです。

先述したように、契約通りの建物を法規の定める基準に沿って完成するのは、施工を請負った会社の責任であり、施工管理、設計監理に指名された人の責任で行われなければなりません。そうした当事者が行う管理責任とは別に、家づくりに第三者の目を入れていく方法として、私たちは欠陥住宅の発生予防を目的とした「欠陥住宅予防検査」(施工ポイント検査)という検査システムを推進しています。

具体的には構造、雨じまい〔屋根、外壁、開口部の雨漏れ防止を目的とした施工〕など後日重大な欠陥に結びつく部分の重点検査と検査記録の保存、竣工後の数カ月の稼動による稼動検査の実施を基本としています(表6)。詳しくは終章202頁を参照してください。


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※実際の書籍の内容とは異なる場合があります。
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