関東・首都圏 活動ブログ

全国の会員が日々の相談・検査・設計・研究などの活動から皆さまに役立つ事例、家づくりに関する地域の情報、社会情勢ニュースに対する専門家としての意見などを発信していきます。

建て主なのに図面が貰えない?!

 建設会社さんで、基礎図面や構造図面(床·壁·天井·屋根の骨組み図など)を建て主さんに渡さないという会社が極めて希にあります。


 工法を見ても、極めて特殊な、企業秘密になるような造りではないのですが、渡さないのです。



 建て主さんが見ても理解が困難な内容なので図面を渡しても仕方ないということかもしれませんが、家の床·壁·天井の中がどうなっているかが分かる図面は、建て主として保管しておくべきです。

 将来のメンテナンスやリフォームを別の建設会社さんに依頼する際に構造図面が無いと、不明な箇所が増え、解体しないと確認が出来なくなり、無駄の無い工事計画が困難になります。また突然のトラブルにも迅速に対応出来ません。

 近所の建設会社さんで保管しておいてもらっていて、いつでもすぐに取り出し対応してもらえるなら良いのですが、それでも工事中の資料としてとりあえずは着工時に一通り貰っておいたほうが良いです。




 当会のような第三者検査を実施する方は、必ず基礎図面や構造図面が必要ですので、建設会社さんに伝えてください。

関東:石川 克茂


なぜ平気で使えるのか?

 当会で検査をした建設会社さんの排水管の写真です。

 実はこの排水管は、あるハウスメーカーさんの社名印字シールが貼ってある製品でした。



 下請け設備業者さんがそのハウスメーカーの仕事もしているため、在庫を持っていて別の建設会社のこの建物で使用した訳です。


 当初から使用予定の排水管と同仕様の素材のものを使っていれば、性能は同等だから問題なしという判断のようです。

 仰る意味は解るのですが、建て主さんからすれば、他のハウスメーカーの建物で余った材料を、断りもなく自分の家づくりで堂々と使われた訳ですから気分の良いものではありません。

 下請け設備業者さんの感覚と、他社の社名が入った部材を自社の建物に存在することに平気な現場監督さんの感覚が理解できませんでした。



 たぶん印字されていたハウスメーカーさんは、下請け業者さんにはオリジナル部材を他社の現場での使用を禁止しているはずですので、ルールを破る下請け設備業者さんに対して、この後の建物内部配管の工事を任せるのが心配になってしまいます。

 
 もちろん検査時に建て主さんには報告致しました。

関東:石川 克茂



請負契約時には工期にも注意

 猛暑というより酷暑となっている夏。

 家づくりの現場の職人さんは、汗だくで暑さに耐えながら、建築主さんのために日々作業してくださっています。


 最近は空調服など暑さをしのぐものもありますが、この酷暑ですと昔に比べ頻繁に休憩しながら作業しないと倒れてしまいますし、作業効率も他の季節より落ちてしまうと思います。

 しかしそれを考慮せず超短工期で契約し、そのために職人さんを酷使しているハウスメーカーの現場を見受けます。


 当会への相談でも「夜遅くまで作業している」「日曜日も工事している」など聞きます。
また建て主さんが工期の遅れが気になり伝えると、「職人の人数を多く入れて間に合わせる」といういわゆる突貫工事を平気で宣言したハウスメーカーもいるようです。


 そういった工程にしているハウスメーカーに限って、「建物完成日」の翌日に「引き渡し日」にしていることが多いです。施主検査(内覧会)と手直し工事期間を確保していていない訳です。


 超短工期で安心納得の家づくりは困難です。


関東:石川 克茂


工事途中の倒産に備えて

 ここ最近、事務局に工事施工業者の倒産に伴う相談が、複数件届いています。やりきれない気持ちになります。

 統計をみても建設業の倒産件数は、高い水準で推移しているようです。

 
 工事途中に倒産してしまいますと、一つの方法として他の会社に再依頼して進めていくようになりますが、費用の問題が発生します。

 多くの場合は工事進捗状況より多額の支払いをしていることです。中には、工事初期段階で6割~8割を支払い済ということもありました。これでは次の工事に回す費用がなくなってしまいます。

 ですので、請負契約時には支払い回数・支払い金額をよく確認して、工事進捗より過払いの無いようにしていただきたいです。



 当会では新築やリフォーム時に、業者が倒産などの理由で建築主から請負った住宅の工事を継続できなくなった場合、建築主に負担をかけずに残工事を完成し引渡すための金銭的な保証を担保する制度として、イエンゴ完成保証制度を勧めています。

 「イエンゴ完成保証制度」は、「消費者保護」を目的として設立された姉妹NPOの「NPO法人イエンゴ保証機構」で運営されており、また、保証機構に加入する全請負者が連帯して保証債務の責任を負うという特徴があります。 

 一人でも多くの方々の「家を建てる権利」が守られることを切に願います。

関東:大垣 康行


技術を磨く場の減少

 工場生産での大量生産は、良質なものを安価に求めることのできる社会を実現させ、それにより人々の生活は飛躍的に便利になりました。

 住宅産業で言えば、工場生産パーツで組み立てる家づくりの一部がそうかもしれません。

 材料は繊維板や成型板などの人工建材(=新建材)を使うため、収縮やねじれがなく加工が容易で、施工時間も従来より大幅短縮は出来ます。

 しかし建主さんが材料に天然無垢材を使用したい、壁は塗り壁にしたい、建具や家具を特注で造りたい、本格和室も欲しいなどと思われたら、新建材を多用する一部の住宅では対応が困難な可能性があると思います。

 そういった依頼にも対応できる職人さんの存在が必要です。
 
 良い素材材料を用いて設計されても、それを形にする大工さんの腕技術が低くければ、見た目で粗が目立つでしょうし、耐久性も落ちてしまいます。

 例えば無垢の木は、性質による収縮やねじれも考慮しながら加工をしなければなりませんので、性質を見抜く目も必要でしょう。

 今は大工さんの人口自体が減少している現状です。併せて、新建材を多用する住宅の需要増加を踏まえると、その希少な大工さんが技術を磨く場も減少していると思います。

 巾木(はばき)の出入り隅の造り方を見ても、樹脂製のキャップを両面テープで留めて仕上げている住宅と、材を45°斜めに切ってピタッと角を造り仕上げているのでは、見た目の気持ち良さと耐久性が違います。



関東:石川 克茂