関東・首都圏 活動ブログ

全国の会員が日々の相談・検査・設計・研究などの活動から皆さまに役立つ事例、家づくりに関する地域の情報、社会情勢ニュースに対する専門家としての意見などを発信していきます。

55ページ目

匠会員訪問記 アクトホーム(静岡県)


当会の匠会員であり、静岡県島田市で創業110年という歴史を持つアクトホーム株式会社に伺ってきました。
日本の木造住宅における匠技術を継承しながら、現代の技術を取り入れた独自の家づくりを実践している会社です。

家づくり方針として「地域のヒト・モノ・ワザを紡ぐ」を謳っているとおり、手造りの家づくりの素晴らしさとともに地域の発展を大切に考え、地域の材料、地域の技術を合わせた家づくりは必見です。
「手造り」の良さを多くの人に知っていただくための催事や、実際の現場を見ることができる見学会を定期的に開催していますので、ご興味のある方は是非ご参加してみては如何でしょうか。
また、会社敷地内には、自然素材をふんだんに使い、住まいと暮らしの情報ステーションとした「アクトCafe」を開設しています。
家づくりの相談や打合せだけでなく、ワークショップやランチ会、ライブコンサートなど楽しい催し物も企画していますが、「いつでも気軽に寄れるコミュニティ場所として皆様のお越しをお待ちしています」(齋藤社長談)とのことです。
地域の皆さんとつながりを大切にしているからこそ言える言葉であり、齋藤社長の暖かい人柄を感じました。

関東:植田 達二



塀・擁壁 土地の所有者は責任を問われます

古くて背の高いブロック塀は倒壊の危険があります

昨日、大阪府の北部を震源とする震度6弱の地震が発生して4人の方が亡くなっています。

亡くなられた4人のうち、2名の方がブロック塀の下敷きになり亡くなられ、
1名の方は住居内の本棚が倒れ下敷きになり亡くなられました。

建物自体を耐震補強する事も重要ですが、より身近ですぐにでも始められる「防震」と称した地震対策を家づくり援護会では以前から提案してきました。
また自治会や地域のイベントなどでも「防震」の話をしたり、展示を行ってきています。

日々イエンゴでも4月23日のブログでは家具の固定について、5月15日のブログでは「おととしの熊本地震で倒れたブロック塀の下敷きになり死亡した男性の遺族と重傷を負った女性の方がブロック塀の施工者ではなく所有者を過失致死傷の容疑で告訴した。」というメディア記事の感想について書いています。




今回のブログでは、擁壁と地盤の崩落の例を挙げて中古の住宅や土地を購入しようとする土地の敷地内、または隣接する敷地に気になる擁壁やブロック塀がある場合と、購入する土地の状況をできる限り確認することをお勧めしたいということを書いています。



「日経ホームビルダー」の2018の1月号に「民家の盛り土崩落は自己責任か」という記事が載っていました。

2017年10月22日に関西圏を襲った台風21号により奈良県三郷町の近鉄生駒線沿いの高台にある住宅地の鉄筋コンクリートの*擁壁が、高さ約8m、幅約50mにわたって崩落したという記事でした。

*擁壁(ようへき):崖や盛り土の側面が崩れ落ちるのを防ぐために築く壁。(スーパー大辞林3.0より)


崩れた擁壁と土砂は16年前に開発会社が盛り土(もりど)工事を県に許可を出し行われた工事で造成後、開発会社が3回にわたり補修工事をしたが、この会社は倒産したとのことです。


この崩落事故は関西圏のテレビや新聞も大きく取り上げられ、一般人の関心が高まりその一般人の意見には住民の自己責任論が目についたそうです。

記事では、『確かに土地選びは自己責任だ。所有者としての管理責任も伴う。
宅造法16条には「宅地造成工事規制区域内の宅地所有者は、宅地を安全な状態に
維持するように努めなくてはならない」といった趣旨が記されています。
この現場は、宅地造成工事規制区域に指定されていたとはいえ、
この現場の居住者が盛り土の危険性をどれだけ認識していただろうか』と書いています。


千葉県の浦安市では、東日本大震災で液状化した住宅地の住民が
分譲住宅を販売した会社に損害賠償を求めて最高裁まで争ったが最終的には
住民が敗訴した、ということも有りました。


建物が建つ土地や、その土地に築かれた擁壁やコンクリートブロック塀などを購入したのも自己責任。購入後に安全性を維持するのも自己責任。
万一第三者に危害を加えてしまった場合、現状はそう判断されかねないということです。

新築や中古住宅を購入するときにその土地に気になる擁壁や塀が有るときや土地の性質は、建物だけの安全性の確認だけで無く、出来るだけ確認するほうがよいという事です。

家づくり援護会では新築住宅や中古住宅の購入診断という住宅を購入する方向けの検査があります。

購入診断は「目視」で行う検査です。
建物の外や中、床下や天井内、それと敷地内の擁壁や塀も「目視」で確認するようにしています。

検査するのは「目視」ですので表面に現れた兆候を検査する事になります。

気になる擁壁や塀がある場合で、擁壁の内部が盛り土になっているのか。
鉄筋が所定通り入っているのか。
など「目視」出来ないところと土地の性質などは売り主や
不動産業者に出来るだけ資料を集めてもらい検討することをお勧めいたします。

関東:今井 利一


満足な家づくりのサポート

注文住宅を造ろうと思ったとき、その方法は二種類に分かれます。


一つ目は、どんな家にしたいか書籍を読んだり、友人、知人から情報を得たり、SNSの意見やホームページを参考にする。

近くの住宅展示場に行き、自分たちはどこの住宅会社が合うか考えながらそれぞれの展示場を見て歩く。

または、あらかじめいいと思った住宅会社数社の展示場に赴き実物を見たり、パンフレットを見て、営業から説明も受ける。

候補の住宅会社を数社選び、価格や工法などの仕様その他様々な条件の中からどこに家づくりを依頼するか検討を重ねる。


二つ目は、どんな家にしたいか書籍を読んだり、友人、知人から情報を得たり、SNSの意見やホームページを参考にする。

ここまでは最初の方法と同じですがこの後に違いがあります。

自分たち家族で、家の使い方や将来の家族の変化どんなスタイルの家がいいのか、どんな設備がいいのか、どんな工法がいいのか、どんな材料がいいのか、様々な事を考える、場合によっては自分たちで間取りも作る。

そして、

間取りも含めてどんな家にしたいかをまとめた物を住宅会社に示し、候補の住宅会社を数社を選び、価格や住宅に対する姿勢や管理体制などの条件の中からどこに家づくりを依頼するか検討を重ねる。


概ね、一つ目と二つ目の家づくりは中間が違うだけです。

でも、二つ目の家づくりは私たち素人には不可能じゃないの?

と思われるかもしれませんが、

家づくり援護会では二つ目の家づくりを考えている方向けに各地で「設計教室」を実施しています。

現在行われている「設計教室」では、主に二つ目の家づくりの間取りの作成のお力になるために行われているものです。

家づくり援護会では家づくりをされてきた方から様々な相談を受けてきました。

そんな中で、二つ目の家づくりの方法をされた方は自分の家に対して満足度が高いのは事実です。

そこで、より満足度が高い家づくりをサポートする必要があると考え、現状の「設計教室」修了後のサポートとして、(仮称)「設計教室アフターサポート」を企画しています。

詳細は近々当会のホームページなどに記載いたします。

関東:今井 利一


敷地境界確認も重要

境界プレートが剥がれていてどこが境界かわからない

建売住宅や中古住宅の購入前のご相談を受けることがありますが、
皆さん建物のみについて気にして、境界点(線)に関してご確認されていない方がいらっしゃいます。
既存ある塀やフェンスが誰の所有なのかにも関わってきます。
境界の問題は、将来のトラブルにも関わってきます。

売買契約書には、次のように記載されていることが多いです。

(境界の明示及び実測図の作成)
第○条  
売主は、買主に本物件引渡しのときまでに、現地において隣地との境界を明示する。
2 売主は、その責任と負担において、隣地所有者等の立会を得て、測量士又は土地家屋調査士に標記の土地について実測図を作成させ、引渡しのときまでに買主に交付する。

この内容が記載あるなら、売主には境界を明示する義務があるわけですので、契約締結前にきちんと現地でどこが境界なのか説明を受け確認しましょう。

関東:石川 克茂


欠陥住宅予防検査で最も多い指摘基礎のカブリ寸法不足

木造の基礎は鉄筋コンクリートでできている。

そりゃ知っています。と言われそうですが。

実際に建築現場で、その木造を含めた住宅の基礎を長持ちさせることに
どれだけ注意が向けられているのか、甚だ疑問が残ります。

プレハブでも上部は工場で生産されていて
安定した品質が確保できるのかもしれませんが、
基礎で使う鉄筋の一部は加工済みのものを
現場に搬入している場合もありますが、
加工済みの鉄筋だからといって
そのまま現場に設置して、それで終わり
とはならないのです。
全ての基礎の鉄筋は現場でつなぎ合わせています。

また、アンカーボルトの結束や、
設備用の配管の開口や型枠も
現場で施工して、コンクリートを
流し込んでいます。


家づくり援護会では、建て主からの依頼で
工事中の検査である「欠陥住宅予防検査」を
様々な工法で実施をさせていただいてきました。


その「欠陥住宅予防検査」を実施した中で、
工法を問わず最も多い指摘が、

基礎の鉄筋のカブリ寸法不足です。

*カブリ寸法は上図を参照してください。
(図:木造住宅 工事チェックハンドブック 家づく援護会 編より)


このカブリ寸法は
建築基準法の告示にも最小のカブリ寸法というものが
記載されています。


では、なぜ、そのカブリ寸法を確保することが必要なのか?
法律に書かれているから?
それもそうですが、建物の耐久性にかかわるからです。

鉄筋コンクリートの鉄筋はコンクリートが
保護しているから錆びずにいられます。

そのコンクリートで鉄筋を保護している厚さが
不足していては鉄筋が錆びて耐久性が劣ってしまいます。

法律に書かれているのに守れていないのか?
と、疑問に思われるかもしれませんが、
実際の現場は多くの鉄筋と型枠や
設備配管用の開口があり、
通常の管理では全てを見ていないからなのです。


また、
コンクリートはご存知の通り
固まる前はドロドロしたものですので
通常は基礎のベースと呼ばれる部分と
ベースの上に木造の場合土台が乗る
基礎の立ち上がりは別々に
2度に分けれコンクリートを打ちます。


木造の住宅の検査を例にとれば
性能表示の現場検査(建設評価)や
確認申請の中間検査、瑕疵保険の検査でも
基礎の配筋が完了した段階で検査を行っていますが
基礎の立ち上がりに関しては検査をしていません。


家づく援護会の「欠陥住宅予防検査」の場合、
基礎の施工中の検査は「基礎配筋完了時の検査」と
1回目のコンクリート打設後、型枠やアンカーボルトなどが終了して
2回目のコンクリートを打設する前の「基礎立ち上がりの検査」
の2回の検査を実施しています。

多くの検査機関では実施されていませんが、
何故基礎の2回目の検査が必要かといえば、
1回目のコンクリートの打設が終わり
コンクリートが硬化しなければ立ち上がりの施工はできませんので、
その施工段階のチェックも必要であるために実施しています。


家づく援護会では様々は工法で建てられた住宅の検査を承ってきました。

当会のホームページでは在来工法と枠組壁工法の2種類の
検査の概要が記載されていますが、
それ以外の工法の検査につきましても承っていますので、
詳しくは当会事務局までお問い合わせください。

関東:今井 利一