鎹(かすがい)

建築用語には、ことわざになったものも多くあります。
その中のひとつが、鎹(かすがい)です。
見慣れないこの一文字で「かすがい」と読みます。
「子は、かすがい」の「かすがい」がこの『鎹』なのです。
どういう意味かと言いますと、
子に対する愛情が鎹になって、夫婦の間がなごみ、夫婦の縁がつなぎ保たれる。
また夫婦仲が悪くなろうともそれを繋ぎ止めるのが子(鎹)ということです。
「子は、親の鎹」ともいいます。
それでは、『鎹』とは一体なにか?
木造在来工法の住宅で用いられるコの字型の補強金物で、
両端が釘の先のように尖っている金物のことを言います。
これを木材に金槌で打ち込むことによって、木材同士を繋ぎ止めます。
さて、この鎹が家のどこに使われているのでしょうか。
現在では、主に床下や屋根裏に多く用いられています。
屋根裏の小屋束を繋ぎ止めたり、母屋の接手の緊結に用いたりします。
梁の上に立てる小屋束は、屋根裏の柱のようなもので、
その上下を両サイドから鎹を打ち付けるのです。
欠陥住宅予防検査の上棟検査で、鎹の打ち忘れを見付けることがあります。
床下や屋根裏は完成してからでは、
なかなか見る機会がないので重要な検査となります。
施工中にリアルタイムで行う検査が欠陥住宅予防検査なのです。
関西:鉢嶺 民雄

材のつなぎ目の金属が「鎹」

鎹