日々イエンゴ

全国の会員が日々の相談・検査・設計・研究などの活動から皆さまに役立つ事例、家づくりに関する地域の情報、社会情勢ニュースに対する専門家としての意見などを発信していきます。

建替えの予算組にご注意

 今の住まいが古くなり建て替えをする、また、中古住宅を購入して解体してから新築を建てる、など自分たちの希望を入れて家を建てることは夢の一大事業です。



 新築住宅を購入するのと大きく違うのは、まずは古い家を解体しなければならないことです。



 建て替えなどの場合、家づくりの予算を考える時に解体工事費も含めて考えなければならないのですが、2023年10月の法改正により解体費用が大きく増えることになりました。

 テレビなどでも耳にしたことがあると思いますが、人体に悪影響を及ぼす「アスベスト」に対する法規制が厳しくなり、調査から届出、処分まで、非常に多くの手間と費用がかかることになりました。



 規制前には様々な建材に含まれていた「アスベスト」ですが、人体に影響があることが解ってきていからは建材への使用が禁止されたため、新しく使われる建材には含有されていることはありません。

 しかし、古い家には「アスベスト」含有の建材が使われているので、どこに含まれていて、どのように処分するのか、事前に届出する必要があります。

 解体工事をするときにも、「アスベスト」含有の建材を壊す時には今までのように機械を使えず、手で撤去のうえ袋詰めして、周りに飛散しないように運び出さなければならない、これを聞いただけでも余計な費用が掛かることが解ると思います。

 
 調査をしなければどれだけ使われているか解らず、費用もはっきり出来ない、だけど調査するためには屋根や壁を壊してサンプルを調査会社に提出しないと解らない、など、住んでいる状態では費用が出てこないという状況になります。


 国が決めた流れでは、全体工事費を決めてから家づくりをはじめることが難しいことになってしまいました。

 解体費用には、少し余裕を持って計画することが必要であることを忘れず、予算組にはご注意ください。


理事長:植田 達二


数値に惑わされない ~過剰な仕様は誰のため~

最近では、家の性能を数値化し、

あたかも分かり易く比較できるようにしているかのようにも見える。



例えば、断熱性能。

数値を追うばかり、数値の比較だけで住宅の良し悪しの判断基準にしてはいないか。

大阪においてグラスウールの断熱材を天井裏に3重も重ねる。

あるハウスメーカーがやり始めると、メーカー同士比較されるため、

他のメーカーもこれに追従し断熱材を3重に重ねる仕様に変更する。

果たして大阪の地でグラスウールを3重に重ねる必要があるだろうか。

当然、その分の金額負担は建て主に帰ってくる。



吉田兼好の徒然草の中の言葉に

「家の作り様は夏を旨とすべし」という言葉がある。

「冬はいかなる所にも住まる。暑き頃、悪き住居は、堪え難きなり。」

そもそも高温多湿の日本における住まいづくりの元となった考えでもある。

気密や断熱性能を上げるがために窓を小さくしたり、トイレや浴室の窓を無くしたり。

文明の利器である換気扇があるから、エアコン1台で室内環境は良好ですと謳う。

本当の住みやすい家、使い勝手のいい家とは。

メンテのし易さ、点検のしやすさ、世代を超えて住み継がれる・・・・・等々。



日本の気候において建物にとって本当にいい仕様、家の作り様とは。

自然に逆らわない、自然とともに生きていく建て方とは。

四季があり梅雨がある日本において自然環境を遮断する建て方ではなく

積極的に自然とかかわっていく昔ながらの家づくりが

本来は建物の寿命を延ばすのではないでしょうか。



最近の家づくりは、あまりにも人間を過保護にするものに思えてしようがない。

地域性を考えず、作り手側・大手ハウスメーカー主導の家づくりを

そろそろ見直す時期に来ているのではないだろうか。


関西:鉢嶺 民雄


省エネ法改正について

 建築物省エネ法改正で、現在特定の建築物だけに限定されている

省エネ基準の適合義務が令和7年の施行後、

全ての新築の住宅が省エネ基準の適合義務の対象になります。




 増改築の場合にも省エネの適合義務が見直される予定です。


 省エネ性能を高めた住宅では、太陽光パネル、断熱材、サッシなどの採用などにより

住宅の建物としての重量が増してきます。


 このことより令和7年から構造の基準も変わります。



 省エネ、構造基準の改正などにより、家づくりも様々な基準に適合させるために

設計だけでなく施工中の管理も非常に大事になってきます。



 家づくり援護会は、家づくりを確実にサポートします。

 家づくり援護会を活用して たしかな家づくりをしてほしいと思います。

北海道:今井 正樹


浴室リフォームで判明した劣化

 リフォーム工事で壁や床を剥すと、普段は見えなかったところの劣化状況が解ったりすることがあります。


 予定していた工事内容が変わったり、工期が延びる、追加工事が発生するなど、開けてみないと解らない部分があるのがリフォーム工事です。

 リフォーム工事では、計画段階である程度想定して内容や見積りに反映しておくことが大切ですが、それをいいことに必要以上に金額を上げたりする業者もいるようですから注意が必要です。


 計画段階でできるだけ追加変更が出ないようにしておくことと、想定できる追加変更についてもきちんと説明してくれる施工業者を選ぶことが重要です。



 写真は、浴室を解体してみたら壁下地まで湿気により傷んでいた事例です。

 この段階でチェックし、補強工事を実施できたことで安心されていました。

 リフォーム工事は、実際には新築工事を行うより難しい部分があります。

 工事する部分としない部分の取合いや、昔の建物の造り方を知らなければできなかったり、一緒に多くの職人を入れなければならなかったり、材料の手配や廃材の処分も日々行う必要があるなど、管理者の腕の差がでやすいのもリフォームならではと言えます。


 リフォーム工事の内容や規模によって、施工業者で必要とされている「建設業許可」が無くても請負えるのが問題だと考えています。

 悪質業者が入り込みやすいのも、法規制が不十分であることも原因の一つであると思います。



 リフォーム工事でも事前相談や契約書チェック、見積り相談、工事中のチェックなど、不安を感じる前にイエンゴのサポートをご利用ください。

理事長:植田 達二



なぜ平気で使えるのか?

 当会で検査をした建設会社さんの排水管の写真です。

 実はこの排水管は、あるハウスメーカーさんの社名印字シールが貼ってある製品でした。



 下請け設備業者さんがそのハウスメーカーの仕事もしているため、在庫を持っていて別の建設会社のこの建物で使用した訳です。


 当初から使用予定の排水管と同仕様の素材のものを使っていれば、性能は同等だから問題なしという判断のようです。

 仰る意味は解るのですが、建て主さんからすれば、他のハウスメーカーの建物で余った材料を、断りもなく自分の家づくりで堂々と使われた訳ですから気分の良いものではありません。

 下請け設備業者さんの感覚と、他社の社名が入った部材を自社の建物に存在することに平気な現場監督さんの感覚が理解できませんでした。



 たぶん印字されていたハウスメーカーさんは、下請け業者さんにはオリジナル部材を他社の現場での使用を禁止しているはずですので、ルールを破る下請け設備業者さんに対して、この後の建物内部配管の工事を任せるのが心配になってしまいます。

 
 もちろん検査時に建て主さんには報告致しました。

関東:石川 克茂