日々イエンゴ

全国の会員が日々の相談・検査・設計・研究などの活動から皆さまに役立つ事例、家づくりに関する地域の情報、社会情勢ニュースに対する専門家としての意見などを発信していきます。

中古住宅購入のポイント

 日本は諸外国に比べ、中古住宅に対する評価が非常に低いと言われています。中古と言われると「古くて汚い」という印象を持っている方が多いのですが、コロナ禍により在宅ワークやDIYなど、生活スタイルの変化により中古住宅へ目を向けられる方が多くなってきています。


 そこで、中古住宅を購入する際の注意点をご紹介します。

 中古住宅と一言で言っても立地条件、築年数や構造、工法、性能など様々ですので、検討する際には十分注意しなければいけません。

 以下のポイントを見逃すと、余計な出費が掛かる場合も出てきますので注意してください。

① 構造的に問題無いか
当り前ですが、建物の基本となる構造がしっかりしていなければ長く住むことはできません。

基礎や外壁に大きなヒビがある場合、また、窓やドアなどを開け閉めしたときに隙間が出ている場合、室内を歩くと傾きを感じる場合など、建物自体にゆがみがあると様々な現象が現れます。

② 雨漏り、水漏れは無いか
木造住宅の場合、柱や梁などの木材には「水」が天敵です。直接の水だけでなく湿気に対しても木材を腐らせる原因になったり、カビの発生による健康被害につながる場合も出てきます。

天井に雨染みの跡があったり、窓周りにシミが出ていたり、また、洗面所の床がふかふかする場合も注意してください。床下を確認できれば配管からの水漏れが発見できる場合もあります。

③ 建物のメンテナンスはされてきているか
建物は当然経年劣化が起こります。外壁や屋根、内部、水周り、設備機器など定期的にメンテンアスがされていないと、思わぬ出費につながります。売主に対し、メンテナンスの状況を確認したり、給湯器をはじめとする設備機器の製造年月日を確認することで交換時期を把握することができます。また、排水管の詰りについては、建物の外周部にある排水桝を開けて排水の流れ具合をみることも大切です。

 基本的なポイントとなりますが、建物本体だけでなく外周部やお隣との境界ラインなど、できるだけ多くの情報を確認してください。

 中古でも「リフォーム済み」となっている場合は、表面上はきれいになっていますので問題点を発見するのは難しくなります。

 イエンゴでは、専門家による中古住宅の購入診断も実施しています。専門家による診断を受けることで、購入への判断をしていただければ購入後のトラブルを回避することができます。

 中古住宅をご検討の際は、一度ご相談いただけると安心です。


理事長:植田 達二


空家をお持ちの方へ

 日本各地で空家の問題が取り上げられていますが、なかなか進まないのが現状です。

 統計を見ても、2018年の段階で840万戸を超え、さらに増え続けると予測されています。

 空家と言っても「賃貸用の住宅」「売却用の住宅」「二次的住宅」「その他の住宅」と大きく4つに分類され、一番の問題は、居住実態が無く使用目的も明確でない「その他の住宅」の347万戸と考えられます。

 この347万戸をお持ちの方は「空家となっているが、どうしていいか解らない」というのがお悩みではないでしょうか。


 空家と言っても空家になるには様々な経緯があって、とくに相続などではすぐに対処できない、というケースも多いようです。

 しかし、防犯や防災の面からも一目で「空家」とわかってしまう状況は決していいこととは言えません。

 また、建物は管理をきちんとしなければ思った以上に劣化が進んでしまいます。

 何もしなければ雑草はお構いなしに延びますし、風通しが無ければ内部は湿気やカビにより、場合によっては構造材まで腐朽がすすむことになりかねません。

 劣化が進めば、いざ何かしよう、としたときに余計な費用が掛かってしまうことになりますので、定期的に面倒を見ることが必要です。


 住宅建築専門家である我々は、使える物はきちんと手を入れ、有効に使える建物に生まれ変わらせ次の命を入れてあげたいと考えます。

 当然、空家である理由あけでなく、地域性や建物の状態などでも活用策も変わってきますので、一つの解決策しかないわけでは無いことが一番難しいところだと思います。


 イエンゴでは、建物の状況診断だけでなく活用についての相談も受け付けています。

 空家をお持ちで、使い道や建物の状態にご不安のある方はお気軽にご相談ください。

 貴重な財産を無駄にしないために、早めの行動が重要です。


理事長:植田 達二


工務店に行く前に

リフォームするのか、建て替えが良いのか、自分だけでは決められない。

こういう場合は自分のペースで納得いく形で進めたいものです。

そんな時にはイエンゴの専門家のサポートを活用するのがお薦めです。

不動産会社、工務店などに行く前に当会へのご相談をお薦めします。

当会は相談・検査機関とお思いの方も多いですが、建築計画・予算・間取り・設計の提案サポートもしています。

工務店に行くのは計画が出来てからでも良い訳です。当会では業者選定のサポートもしています。

いろいろな家づくりのサポートメニューがありますので、相談フォームやメールでお問い合わせください。

関東:石川 克茂


塀・擁壁 土地の所有者は責任を問われます

古くて背の高いブロック塀は倒壊の危険があります

昨日、大阪府の北部を震源とする震度6弱の地震が発生して4人の方が亡くなっています。

亡くなられた4人のうち、2名の方がブロック塀の下敷きになり亡くなられ、
1名の方は住居内の本棚が倒れ下敷きになり亡くなられました。

建物自体を耐震補強する事も重要ですが、より身近ですぐにでも始められる「防震」と称した地震対策を家づくり援護会では以前から提案してきました。
また自治会や地域のイベントなどでも「防震」の話をしたり、展示を行ってきています。

日々イエンゴでも4月23日のブログでは家具の固定について、5月15日のブログでは「おととしの熊本地震で倒れたブロック塀の下敷きになり死亡した男性の遺族と重傷を負った女性の方がブロック塀の施工者ではなく所有者を過失致死傷の容疑で告訴した。」というメディア記事の感想について書いています。




今回のブログでは、擁壁と地盤の崩落の例を挙げて中古の住宅や土地を購入しようとする土地の敷地内、または隣接する敷地に気になる擁壁やブロック塀がある場合と、購入する土地の状況をできる限り確認することをお勧めしたいということを書いています。



「日経ホームビルダー」の2018の1月号に「民家の盛り土崩落は自己責任か」という記事が載っていました。

2017年10月22日に関西圏を襲った台風21号により奈良県三郷町の近鉄生駒線沿いの高台にある住宅地の鉄筋コンクリートの*擁壁が、高さ約8m、幅約50mにわたって崩落したという記事でした。

*擁壁(ようへき):崖や盛り土の側面が崩れ落ちるのを防ぐために築く壁。(スーパー大辞林3.0より)


崩れた擁壁と土砂は16年前に開発会社が盛り土(もりど)工事を県に許可を出し行われた工事で造成後、開発会社が3回にわたり補修工事をしたが、この会社は倒産したとのことです。


この崩落事故は関西圏のテレビや新聞も大きく取り上げられ、一般人の関心が高まりその一般人の意見には住民の自己責任論が目についたそうです。

記事では、『確かに土地選びは自己責任だ。所有者としての管理責任も伴う。
宅造法16条には「宅地造成工事規制区域内の宅地所有者は、宅地を安全な状態に
維持するように努めなくてはならない」といった趣旨が記されています。
この現場は、宅地造成工事規制区域に指定されていたとはいえ、
この現場の居住者が盛り土の危険性をどれだけ認識していただろうか』と書いています。


千葉県の浦安市では、東日本大震災で液状化した住宅地の住民が
分譲住宅を販売した会社に損害賠償を求めて最高裁まで争ったが最終的には
住民が敗訴した、ということも有りました。


建物が建つ土地や、その土地に築かれた擁壁やコンクリートブロック塀などを購入したのも自己責任。購入後に安全性を維持するのも自己責任。
万一第三者に危害を加えてしまった場合、現状はそう判断されかねないということです。

新築や中古住宅を購入するときにその土地に気になる擁壁や塀が有るときや土地の性質は、建物だけの安全性の確認だけで無く、出来るだけ確認するほうがよいという事です。

家づくり援護会では新築住宅や中古住宅の購入診断という住宅を購入する方向けの検査があります。

購入診断は「目視」で行う検査です。
建物の外や中、床下や天井内、それと敷地内の擁壁や塀も「目視」で確認するようにしています。

検査するのは「目視」ですので表面に現れた兆候を検査する事になります。

気になる擁壁や塀がある場合で、擁壁の内部が盛り土になっているのか。
鉄筋が所定通り入っているのか。
など「目視」出来ないところと土地の性質などは売り主や
不動産業者に出来るだけ資料を集めてもらい検討することをお勧めいたします。

関東:今井 利一


新たに始まる既存住宅建物現況調査とイエンゴ購入診断

宅地建物取引業法(宅建業法)の改正により、4月から既存住宅売買の際に、宅建業者は「既存住宅現況調査」(インスペクション)を行う業者のあっせんの可否を依頼者に書面で示すこととなりました。

また、契約前に買主に示す重要事項説明書に、インスペクションが行われているかどうか記載し、行われた場合はその結果を情報として説明することが定められました。

以前より家づくり援護会では「中古住宅購入診断」という検査メニューで、中古住宅を購入する方たちに向けて、安心して中古住宅を購入していただくための検査を各支部や首都圏でも多数依頼をいただき実施してまいりました。

それでは新たに4月から始まった「既存住宅現況調査」と家づくり援護会の「中古住宅購入診断」とでは何が違うのか? 気になる方もいらっしゃると思います。

上の図は国土交通省が去年、新聞紙上に建物現況調査の普及のために掲載した図です。

この図を見ると「既存住宅現況調査」(インスペクション)では、構造耐力上主要な部分と雨水の浸入を防止する部分の確認と記載されていますが、具体的な確認内容まではわかりません。

家づくり援護会の「中古住宅購入診断」は当会のウェブサイトに検査の内容が記載されていますので確認してみてください。 ↓ 中古住宅購入診断ページへリンク
http://www.iengo.ne.jp/side/j-kouneu/j-kouneu.htm

*家づくり援護会で「中古住宅購入診断」のご利用をお考えの方または家づくり援護会で「既存住宅現況調査」(インスペクション)を行いたい方は本部事務局までご連絡ください。

関東:今井 利一