日々イエンゴ

全国の会員が日々の相談・検査・設計・研究などの活動から皆さまに役立つ事例、家づくりに関する地域の情報、社会情勢ニュースに対する専門家としての意見などを発信していきます。

浴室リフォームで判明した劣化

 リフォーム工事で壁や床を剥すと、普段は見えなかったところの劣化状況が解ったりすることがあります。


 予定していた工事内容が変わったり、工期が延びる、追加工事が発生するなど、開けてみないと解らない部分があるのがリフォーム工事です。

 リフォーム工事では、計画段階である程度想定して内容や見積りに反映しておくことが大切ですが、それをいいことに必要以上に金額を上げたりする業者もいるようですから注意が必要です。


 計画段階でできるだけ追加変更が出ないようにしておくことと、想定できる追加変更についてもきちんと説明してくれる施工業者を選ぶことが重要です。



 写真は、浴室を解体してみたら壁下地まで湿気により傷んでいた事例です。

 この段階でチェックし、補強工事を実施できたことで安心されていました。

 リフォーム工事は、実際には新築工事を行うより難しい部分があります。

 工事する部分としない部分の取合いや、昔の建物の造り方を知らなければできなかったり、一緒に多くの職人を入れなければならなかったり、材料の手配や廃材の処分も日々行う必要があるなど、管理者の腕の差がでやすいのもリフォームならではと言えます。


 リフォーム工事の内容や規模によって、施工業者で必要とされている「建設業許可」が無くても請負えるのが問題だと考えています。

 悪質業者が入り込みやすいのも、法規制が不十分であることも原因の一つであると思います。



 リフォーム工事でも事前相談や契約書チェック、見積り相談、工事中のチェックなど、不安を感じる前にイエンゴのサポートをご利用ください。

理事長:植田 達二



基礎工事検査の重要性


 建築工事中の第三者検査の重要性を我々はお伝えしていますが、後からでは見えなくなってしまう部分の検査は非常に大切です。

 家づくりのスタートとなる基礎工事は、コンクリートを打ってしまうとそのなかの鉄筋の状態は後からでは全く見えなくなってしまいますので、必ずコンクリートを打つ前に見なければなりません。



 ポイントは、鉄筋が設計通りの物が適正に入っているかどうか、鉄筋の周りのコンクリートの被り厚さが取れているか、などをチェックします。

 基礎の中央に鉄筋が入っていることが基本となり、鉄筋と枠の間がコンクリートの被り厚さとなります。

 基礎は、鉄筋とコンクリートが一体となって適正な強度が確保されますので、この被り厚さは非常に重要です。



 この被り厚さをきちんと取らずに、適当に工事がされた場合は後々問題が発生してしまいます。

 出来上がったばかりのときはきれいな状態で、見た目では何も問題が無いように見えてしまいます。

 しかし、年数が経ってくると、コンクリートが薄い部分では鉄筋の錆が発生し、コンクリートを壊してしまうことも起こります。

 写真のように壊れた基礎を見てもらえれば、実は鉄筋がすぐ下にあったことが解ります。



 このように、後から解るようではどうしようもありません。
コンクリートを打つ前に、見えなくなる前に検査を入れることが大切であることがお解り頂けると思います。

理事長:植田 達二


設計図面の活用法



 “言った、言わない” “説明した、聞いていない”



 当会によせられたトラブル事例の中に、

“言った、言わない”、“説明した、聞いていない”

という内容を含んだ事例があります。

打ち合わせ議事録や設計図面などに記録が無いため、

双方の記憶でしかわからない事例です。

 このような場合、第三者でも判断がしにくく、

業者側の言い分のほうが通ってしまうことが多いように感じます。



 そうならないために、設計図面を活用することをお勧めします。

新築工事でも改修(リフォーム)工事でも基本的に設計図面は作成します。

打ち合わせ議事録は業者により、作成したりしなかったりします。

ですので、その設計図面にできるだけ盛り込んでしまい、

後でもめないように、図でも文言でもわかるよう記載しておきます。

特に施主のほうで気にしている点、こだわりの点などは必須です。

 また、「設計図面は専門的すぎて、よくわからない」と施主の声があります。

設計図面のすべてを理解できなくても良いので、

気にしている点、こだわりの点などについて記載してあることは

確認しておいてください。



 工事が進んで、できてしまってからですと、後戻りはしにくいです。

ですので、双方齟齬の無いよう、十分に確認しながら、

記録を残して、トラブルにならないようにしてほしいと願います。


関東:大垣 康行


施工中の第三者検査(欠陥住宅予防検査)を入れる時の注意点

 施工中の検査として、イエンゴに欠陥住宅予防検査を依頼される方が増えていますが、施工中の第三者検査を入れるときの注意点がいくつかあります。




 先般も、「第三者検査を入れようとしたら施工会社に拒否されてしまったのだが、どうにか検査を入れることはできないか」という相談がありました。

 聞いてみると請負契約はすでに完了しており、着工が近づいてきたため第三者検査のことを伝えた時に拒否されてしまったようです。


 施工現場は、施工会社により安全に契約した性能、品質を守り、期日内に完成することを目的に管理されています。ですから第三者が勝手に検査することはもちろんの事、立入ることも施工者の許可が無ければできませんので、施工会社の協力がなければイエンゴでも検査に入ることはできません。


 そのため、後から拒否されないように請負契約の締結前に第三者検査について、以下の了解を取っておくことが重要です。できれば契約書の特記や覚書など書面に残しておくと安心です。

① 第三者検査を入れることの了承
② 検査に必要な図面、工程表の提出
③ 検査時の立会い
④ 指摘事項への対応(修正工事への対応)

 第三者検査を拒否する会社というのはどんな理由があるのか解りませんが、誰に見られても問題無い施工をしているのであれば、堂々と検査を受けることもできると思います。

 施主の安心のために、第三者検査にきちんと対応する施工会社を選ぶことも選択肢のひとつと言えるのではないでしょうか。

理事長:植田 達二


工事途中の倒産に備えて

 ここ最近、事務局に工事施工業者の倒産に伴う相談が、複数件届いています。やりきれない気持ちになります。

 統計をみても建設業の倒産件数は、高い水準で推移しているようです。

 
 工事途中に倒産してしまいますと、一つの方法として他の会社に再依頼して進めていくようになりますが、費用の問題が発生します。

 多くの場合は工事進捗状況より多額の支払いをしていることです。中には、工事初期段階で6割~8割を支払い済ということもありました。これでは次の工事に回す費用がなくなってしまいます。

 ですので、請負契約時には支払い回数・支払い金額をよく確認して、工事進捗より過払いの無いようにしていただきたいです。



 当会では新築やリフォーム時に、業者が倒産などの理由で建築主から請負った住宅の工事を継続できなくなった場合、建築主に負担をかけずに残工事を完成し引渡すための金銭的な保証を担保する制度として、イエンゴ完成保証制度を勧めています。

 「イエンゴ完成保証制度」は、「消費者保護」を目的として設立された姉妹NPOの「NPO法人イエンゴ保証機構」で運営されており、また、保証機構に加入する全請負者が連帯して保証債務の責任を負うという特徴があります。 

 一人でも多くの方々の「家を建てる権利」が守られることを切に願います。

関東:大垣 康行