日々イエンゴ

全国の会員が日々の相談・検査・設計・研究などの活動から皆さまに役立つ事例、家づくりに関する地域の情報、社会情勢ニュースに対する専門家としての意見などを発信していきます。

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工事途中の倒産に備えて

 ここ最近、事務局に工事施工業者の倒産に伴う相談が、複数件届いています。やりきれない気持ちになります。

 統計をみても建設業の倒産件数は、高い水準で推移しているようです。

 
 工事途中に倒産してしまいますと、一つの方法として他の会社に再依頼して進めていくようになりますが、費用の問題が発生します。

 多くの場合は工事進捗状況より多額の支払いをしていることです。中には、工事初期段階で6割~8割を支払い済ということもありました。これでは次の工事に回す費用がなくなってしまいます。

 ですので、請負契約時には支払い回数・支払い金額をよく確認して、工事進捗より過払いの無いようにしていただきたいです。



 当会では新築やリフォーム時に、業者が倒産などの理由で建築主から請負った住宅の工事を継続できなくなった場合、建築主に負担をかけずに残工事を完成し引渡すための金銭的な保証を担保する制度として、イエンゴ完成保証制度を勧めています。

 「イエンゴ完成保証制度」は、「消費者保護」を目的として設立された姉妹NPOの「NPO法人イエンゴ保証機構」で運営されており、また、保証機構に加入する全請負者が連帯して保証債務の責任を負うという特徴があります。 

 一人でも多くの方々の「家を建てる権利」が守られることを切に願います。

関東:大垣 康行


技術を磨く場の減少

 工場生産での大量生産は、良質なものを安価に求めることのできる社会を実現させ、それにより人々の生活は飛躍的に便利になりました。

 住宅産業で言えば、工場生産パーツで組み立てる家づくりの一部がそうかもしれません。

 材料は繊維板や成型板などの人工建材(=新建材)を使うため、収縮やねじれがなく加工が容易で、施工時間も従来より大幅短縮は出来ます。

 しかし建主さんが材料に天然無垢材を使用したい、壁は塗り壁にしたい、建具や家具を特注で造りたい、本格和室も欲しいなどと思われたら、新建材を多用する一部の住宅では対応が困難な可能性があると思います。

 そういった依頼にも対応できる職人さんの存在が必要です。
 
 良い素材材料を用いて設計されても、それを形にする大工さんの腕技術が低くければ、見た目で粗が目立つでしょうし、耐久性も落ちてしまいます。

 例えば無垢の木は、性質による収縮やねじれも考慮しながら加工をしなければなりませんので、性質を見抜く目も必要でしょう。

 今は大工さんの人口自体が減少している現状です。併せて、新建材を多用する住宅の需要増加を踏まえると、その希少な大工さんが技術を磨く場も減少していると思います。

 巾木(はばき)の出入り隅の造り方を見ても、樹脂製のキャップを両面テープで留めて仕上げている住宅と、材を45°斜めに切ってピタッと角を造り仕上げているのでは、見た目の気持ち良さと耐久性が違います。



関東:石川 克茂


違法コンクリートブロック擁壁(土留め壁)

  写真は小規模の分譲地において見かけた擁壁です。

 高さはブロックの段数からして約1.9m。

 建築の法律的には確かに工作物の申請の必要外の擁壁ですが、水抜き穴も無く、控え壁も無いコンクリートブロックの擁壁で造られている状況です。


 この写真は、歩道側のみですが、奥に隣地駐車場との境面にも同じような状況で築造されて、地震が起きた時には倒壊の危険が有り、歩道を歩く人に影響を及ぼす可能性が高いです。また、地震が無いにしても年数が経てば徐々に傾くなり膨らむなり危険をはらんでいます。

 
 地震が有れば自然災害ということで瑕疵や保証はないと考えていると思われますし、無くても10年過ぎれば瑕疵の対象から外れると考えているかと思います。

 地震国日本において、こんな危険な擁壁を施工する業者の感覚を疑います。

東海:神谷 一吉


リフォーム検討時に不足している情報


 一般社団法人住宅リフォーム推進協議会の実施したアンケートで、
リフォームの検討段階において不足している情報として多い順に、



①費用の目安や積算の基準

②工事の依頼先選びの目安や基準

③老朽度を診断・検査する専門家に関する情報

と回答されています(住宅リフォーム潜在需要者の意識と行動に関する調査 第11回)。

上記が潜在需要者のリフォーム実施の障害になっているかと思います。


当会では、こうした不安や疑問の解消をサポートするメニューがございます。

[チェック支援]
http://www.iengo.ne.jp/side/k-sapo/k-sapo.htm

[住宅診断]
http://www.iengo.ne.jp/side/jyutakusindan/shindan.htm
 
ご検討いただければと思います。


関東:石川 克茂


〇〇様邸 ~日本語まで崩すハウスメーカー~

〇〇様邸 ~日本語まで崩すハウスメーカー~  


 我々が普段あまり使わない言葉に「邸」という語があります。
 家を建てるときに耳や目にする言葉です。

 「邸」という言葉は、広辞苑によりますと、「やしき」とあります。
 更に「やしき」を引くと、「立派な門構えの大きな住宅。邸宅。」と書かれています。
 すなわち邸という言葉には、敬意をこめてその人の家のことを言うのです。

 ところがいつの間にかハウスメーカーが見積書や図面に「〇〇様邸新築工事」という実に妙な言葉を使い始めました。

 これでは、様様と二重敬語になってしまいます。

 「邸」に「様」など付ける必要はないのです。
 正しくは、シンプルに「〇〇邸新築工事」で良いのです。

 今やハウスメーカーが先導し使い始めた間違った日本語を工務店までが真似て同じように使っています。
 大手が使っているので間違いないだろう。
 家づくりも同じですが、日本人が弱いブランド志向です。

 自分自身でしっかりと考え判断しないといけません。

 これっておかしくない?
 間違っていない?と
 惑わされてはいけません。
 おかしいことはおかしいのです。

 自信を持って「〇〇邸新築工事」と日本語を正しく守り遣っていくことが大切です。


関西:鉢嶺 民雄