日々イエンゴ

全国の会員が日々の相談・検査・設計・研究などの活動から皆さまに役立つ事例、家づくりに関する地域の情報、社会情勢ニュースに対する専門家としての意見などを発信していきます。

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断熱材  ~その意味を考える~

 この写真は屋根面への発泡ウレタン吹付断熱材の施工写真です。



 先に直径150mmのアルミ製フレキシブルダクトを取り付けたために、

断熱施工業者がそのままダクトを埋め込むように発泡ウレタンを吹き付けてしまったようです。



 監督さんのチェックがなされていなかった現場といえます。



 断熱材は基本的に外気に面する部位に施工しなければいけません。

このダクトがあることにより、最も熱負荷がかかる屋根面の断熱欠損となっています。



 このまま天井の石こうボードを貼ってしまえば、

断熱材施工不良部分は隠され、分からなくなってしまいます。



 現場のチェックにおいて大切なことは、

その時、そのタイミングでないと確認出来ないことがあることです。



 また、キッチンのレンジフードの排気ダクトだったので、

冬場には料理から出る温かい湯気を排気するとダクト内で外気に冷やされ、

結露が発生し、レンジフードから水滴がぽたぽたと流れ出る可能性もあります。



 以上のようなことを現場で説明をすると、

イエンゴに検査を依頼された方から、施工業者さんへ改善の指示を出され、

一旦ダクトを外し、正しく断熱材を施工し直し、

本来あるべき姿に是正をされました。



 イエンゴでは、現場検査の際には、依頼者の方に立ち合いをお願いしています。



 今回の様な場合も現場で検査結果の説明を行い、また是正の指示もその場で

出せますので、施工中のロスタイムも少なく現場の改善が出来ます。



 施工中の現場には、第三者の目が大切なのがお分かり頂けるかと思います。


関西:鉢嶺 民雄


施工中の第三者検査(欠陥住宅予防検査)を入れる時の注意点

 施工中の検査として、イエンゴに欠陥住宅予防検査を依頼される方が増えていますが、施工中の第三者検査を入れるときの注意点がいくつかあります。




 先般も、「第三者検査を入れようとしたら施工会社に拒否されてしまったのだが、どうにか検査を入れることはできないか」という相談がありました。

 聞いてみると請負契約はすでに完了しており、着工が近づいてきたため第三者検査のことを伝えた時に拒否されてしまったようです。


 施工現場は、施工会社により安全に契約した性能、品質を守り、期日内に完成することを目的に管理されています。ですから第三者が勝手に検査することはもちろんの事、立入ることも施工者の許可が無ければできませんので、施工会社の協力がなければイエンゴでも検査に入ることはできません。


 そのため、後から拒否されないように請負契約の締結前に第三者検査について、以下の了解を取っておくことが重要です。できれば契約書の特記や覚書など書面に残しておくと安心です。

① 第三者検査を入れることの了承
② 検査に必要な図面、工程表の提出
③ 検査時の立会い
④ 指摘事項への対応(修正工事への対応)

 第三者検査を拒否する会社というのはどんな理由があるのか解りませんが、誰に見られても問題無い施工をしているのであれば、堂々と検査を受けることもできると思います。

 施主の安心のために、第三者検査にきちんと対応する施工会社を選ぶことも選択肢のひとつと言えるのではないでしょうか。

理事長:植田 達二


違法コンクリートブロック擁壁(土留め壁)

  写真は小規模の分譲地において見かけた擁壁です。

 高さはブロックの段数からして約1.9m。

 建築の法律的には確かに工作物の申請の必要外の擁壁ですが、水抜き穴も無く、控え壁も無いコンクリートブロックの擁壁で造られている状況です。


 この写真は、歩道側のみですが、奥に隣地駐車場との境面にも同じような状況で築造されて、地震が起きた時には倒壊の危険が有り、歩道を歩く人に影響を及ぼす可能性が高いです。また、地震が無いにしても年数が経てば徐々に傾くなり膨らむなり危険をはらんでいます。

 
 地震が有れば自然災害ということで瑕疵や保証はないと考えていると思われますし、無くても10年過ぎれば瑕疵の対象から外れると考えているかと思います。

 地震国日本において、こんな危険な擁壁を施工する業者の感覚を疑います。

東海:神谷 一吉


耐力壁の耐力低下の原因です!

 上記写真は、近年木造住宅の耐力壁(耐震壁)として使用されている面材での、釘打ちのめり込み状況です。

 使用する面材により、建材メーカー等のめり込みの規定があります。

 その数値を逸脱してしまいますと、設計で決めている耐力が確保できなくなってしまうことがあります。

 例えば耐震等級3を設計していても、満たさなくなってしまうこともありえます。

 現場監督がしっかりチェックしないと、そのまま進んでしまい、見えなくなってしまいます。

 構造耐力上の重要な部位になりますので、十分ご注意ください。

関東:大垣 康行


下請け業者に任せきりが原因での工事ミス

ビスの打ち忘れ

家づくり援護会で実施している工事中の検査
「欠陥住宅予防検査」の上棟後確認での指摘事項です。

金物のビス打ちの忘れです。

現場監督は金物を通常確認しますが、
会社によっては職人に任せ切りで確認していない場合があります。

写真のようではせっかく取り付けた金物も、
地震時の引き抜きに耐える意味を成していません。

現場を見る目を増やして、ミスが無いよう当会のような第三者検査が必要です。

関東:石川 克茂