日々イエンゴ

全国の会員が日々の相談・検査・設計・研究などの活動から皆さまに役立つ事例、家づくりに関する地域の情報、社会情勢ニュースに対する専門家としての意見などを発信していきます。

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請負契約時には工期にも注意

 猛暑というより酷暑となっている夏。

 家づくりの現場の職人さんは、汗だくで暑さに耐えながら、建築主さんのために日々作業してくださっています。


 最近は空調服など暑さをしのぐものもありますが、この酷暑ですと昔に比べ頻繁に休憩しながら作業しないと倒れてしまいますし、作業効率も他の季節より落ちてしまうと思います。

 しかしそれを考慮せず超短工期で契約し、そのために職人さんを酷使しているハウスメーカーの現場を見受けます。


 当会への相談でも「夜遅くまで作業している」「日曜日も工事している」など聞きます。
また建て主さんが工期の遅れが気になり伝えると、「職人の人数を多く入れて間に合わせる」といういわゆる突貫工事を平気で宣言したハウスメーカーもいるようです。


 そういった工程にしているハウスメーカーに限って、「建物完成日」の翌日に「引き渡し日」にしていることが多いです。施主検査(内覧会)と手直し工事期間を確保していていない訳です。


 超短工期で安心納得の家づくりは困難です。


関東:石川 克茂


2024年労働上限規制について

 建設業界の企業は今、若い人材の獲得に必死になっていると言います。その背景には、同業界が直面する2024年問題があります。




 来年4月から時間外労働をめぐる上限規制が厳格化されることによって起きる問題とされています。


 適用されれば、従業員の時間外労働の上限は月45時間、年360時間となり、1人あたりの労働時間が縮小、従来の業務を多くの人数でこなさなくてはならないため、人材不足が問題視されています。


 ある大手ハウスメーカーはハウス建設において、住宅建設に携わる大工の採用人数を増やし、給与も大幅に引き上げて待遇も改善することで、人材の獲得をしようとしています。


 新築住宅の着工件数は近年、伸び悩んでいます。人材の確保がなければ供給が支えられなくなるとも言われます。


 住宅建設業界の状況は、今後さらに厳しくなりそうです。

 懸念されるのは、管理に時間がとれなくなり住宅の品質が下がってしまうことです。

 それはあってはなりません。

 管理の重要性が今以上に必要になってくるのではないかと思います。




 家づくり援護会(イエンゴ)では サポート事業を行っています。

 家づくりに必要な 土地探しから住宅が完成し住んでからまであらゆるサポートを致します。

 安心な家づくりにぜひ活用してほしいと思います。

北海道:今井 正樹


施工中の第三者検査(欠陥住宅予防検査)を入れる時の注意点

 施工中の検査として、イエンゴに欠陥住宅予防検査を依頼される方が増えていますが、施工中の第三者検査を入れるときの注意点がいくつかあります。




 先般も、「第三者検査を入れようとしたら施工会社に拒否されてしまったのだが、どうにか検査を入れることはできないか」という相談がありました。

 聞いてみると請負契約はすでに完了しており、着工が近づいてきたため第三者検査のことを伝えた時に拒否されてしまったようです。


 施工現場は、施工会社により安全に契約した性能、品質を守り、期日内に完成することを目的に管理されています。ですから第三者が勝手に検査することはもちろんの事、立入ることも施工者の許可が無ければできませんので、施工会社の協力がなければイエンゴでも検査に入ることはできません。


 そのため、後から拒否されないように請負契約の締結前に第三者検査について、以下の了解を取っておくことが重要です。できれば契約書の特記や覚書など書面に残しておくと安心です。

① 第三者検査を入れることの了承
② 検査に必要な図面、工程表の提出
③ 検査時の立会い
④ 指摘事項への対応(修正工事への対応)

 第三者検査を拒否する会社というのはどんな理由があるのか解りませんが、誰に見られても問題無い施工をしているのであれば、堂々と検査を受けることもできると思います。

 施主の安心のために、第三者検査にきちんと対応する施工会社を選ぶことも選択肢のひとつと言えるのではないでしょうか。

理事長:植田 達二


窓がないトイレ ~ほんとにいいの?~

 マンションでは角住戸でない限り、両側はお隣と分厚いコンクリートの壁で仕切られている。

 部屋のレイアウト上、居室が優先され、トイレや浴室はどうしても真ん中の方へ追いやられ、窓のないものになってしまう。

 これは、マンションの致し方ない宿命的なところです。

 ところがどうだろう最近、誰が流行らせたのか、

自由に設計できるはずの一戸建て注文住宅でも窓のないトイレや

浴室が度々見られるようになってきた。

 ここ数年現場検査に行って特に感じることです。

マンション住まいに慣れた方は、違和感がないのだろうか?

普段設計に携わるものとしては、全く考えにくいことです。

 現場で関係者に色々聞き合わせると、

・トイレ、浴室に窓を付けると追加になります。

・窓が無い方が冬場寒くないですよ。

・換気扇を付けていますので大丈夫ですよ。

等々の都合のいい説明でお客さんを納得させているようです。


 今や窓が付いていないのが標準仕様となっているのか?

トイレや浴室を窓なしにすればプランニング(間取り)が楽に出来ます。

現場だけではなく、設計においても手抜きを始めたのか!?


 休日の昼間に入るお風呂。

光が差し込み、リラックスして気持ち良く湯船につかる。

勿論、窓があるので換気も良く出来ます。

トイレにしても同じです。


 窓が無いと昼間でも電気(照明)を点けなければいけない。

換気扇だけでは臭いも抜けにくい等々・・・・・。


 トイレやお風呂の水回りは、換気・採光・居心地に重きを置き、気持ちよく使いたいものです。

トイレ・浴室こそいつもきれいに清潔にしたいものです。

やはりトイレには、窓があるべきでは?

関西:鉢嶺 民雄


工事途中の倒産に備えて

 ここ最近、事務局に工事施工業者の倒産に伴う相談が、複数件届いています。やりきれない気持ちになります。

 統計をみても建設業の倒産件数は、高い水準で推移しているようです。

 
 工事途中に倒産してしまいますと、一つの方法として他の会社に再依頼して進めていくようになりますが、費用の問題が発生します。

 多くの場合は工事進捗状況より多額の支払いをしていることです。中には、工事初期段階で6割~8割を支払い済ということもありました。これでは次の工事に回す費用がなくなってしまいます。

 ですので、請負契約時には支払い回数・支払い金額をよく確認して、工事進捗より過払いの無いようにしていただきたいです。



 当会では新築やリフォーム時に、業者が倒産などの理由で建築主から請負った住宅の工事を継続できなくなった場合、建築主に負担をかけずに残工事を完成し引渡すための金銭的な保証を担保する制度として、イエンゴ完成保証制度を勧めています。

 「イエンゴ完成保証制度」は、「消費者保護」を目的として設立された姉妹NPOの「NPO法人イエンゴ保証機構」で運営されており、また、保証機構に加入する全請負者が連帯して保証債務の責任を負うという特徴があります。 

 一人でも多くの方々の「家を建てる権利」が守られることを切に願います。

関東:大垣 康行