日々イエンゴ

全国の会員が日々の相談・検査・設計・研究などの活動から皆さまに役立つ事例、家づくりに関する地域の情報、社会情勢ニュースに対する専門家としての意見などを発信していきます。

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忘れがちな地震対策

 地震災害が心配されているなかで、1件の相談がありました。

 「玄関上に設置されているエアコンの室外機の落下が心配ですが、移動はできるのでしょうか」ということで早速見にいきました。

 室外機は壁に金物で取付されているタイプで、設置から17年ほど経過していました。



 取付がきちんとされていれば、今すぐに落下するということは無いと思われますが、地震などにより被害がでることも懸念されます。

 今回は、現在のエアコンが古いこともあり、エアコンを交換するとともに、設置場所を変えることで解決です。

 玄関上や道路際に設置されている場合、下に人がいることが考えられますので被害が大きくなる可能性があります。

 壁付けにされている家も多くみられますが、できるだけ1階やベランダなど、安定した場所に室外機を設置することをお勧めします。



 室外機が壁に取り付けられている場合は、外壁や屋根のメンテナンスを行う時に金物の腐食状況やガタツキの点検などを行うことが重要です。

 地震対策についての相談もイエンゴにご連絡ください。

理事長:植田 達二


捨てコン ~捨ててはいけません、必要です。~  

基礎工事において鉄筋を組む前に行う地業(ちぎょう)工事。

指定の深さまで土をすき取ったところに砕石を入れ、突き固める。

そして湿気が上がってこないように防湿シートを全面に覆い被せる。



本来ならその上に捨てコンクリートといわれる厚さ5センチほどの

コンクリートを流し込み固める。略して「捨てコン」といいます。

そうすることにより、捨てコンの上に墨を打ち、基礎の通りを正確に出せます。

また、コンクリートの被り厚さの6センチもキッチリと確保できます。

この捨てコンがないと、防湿ビニールに直接墨を打ったり、

被り厚さが正確に確保できなかったりするのです。



写真のように作業員の体重によりスペーサーがめり込み、

必要な被り厚さ6センチの確保できていません。

大手ハウスメーカーでは、少しでも原価を抑えようと、

外周部(外壁の下)だけに捨てコンを打設し、

内部は捨てコンを省略している現場を多く見掛けます。

基礎の検査に行くたびに、現場監督や職人さんに

「捨てコンが無いと墨も打ちにくいでしょう?」

「施工精度も良くならないでしょう?」

「施工能率も上がらないでしょう?」と伺うと、

全員が口をそろえて、

「実は、そ~なんですよ、でも会社が決めていることなので・・・・・」

将来にわたり長持ちするいい家を造るためには見えないところを

キッチリと施工することが肝心です。



お客さんの為といいながら、お客さんのためにならない施工は如何なものか。

皮一枚、仕上の見た目ばかり、素人受けの家づくりはもうやめた方が良い。



昔から行われている施工材料や施工方法、施工範囲には理由や意味があるのです。

名称は捨てコンですが、「捨てコン」は決して捨てるべきではありません。

いい家づくりには、絶対必要なのです。



関西:鉢嶺 民雄



瓦屋根は地震に対して本当に危険なのか?

 昨今、地震被害の写真や映像として瓦屋根の崩壊の状況がメディアで映し出されると

”瓦屋根は地震に対して危険なのか?” と思われるかもしれませんが、

それにはいくつか原因があります。


・古い建物の場合、瓦を土に乗せて留めていたり、桟にひっかけていたりします。
固定されていなければ、大きな地震が起これば落ちてしまいます。

・瓦屋根自体の重量が重いですので、それが固定されていなければ尚更落ちやすいです。


現在では上記に対して対策が取られています。

・瓦の固定に釘やビスなどで1枚1枚留めたり、
・外れにくいよう金物を使用したり、
・瓦自体を軽くしたり

と様々な防災対策が取られています。


また、省エネなどの点からみても良い点があります。

・断熱性能がよい
 下地から屋根までの厚みがありますので、断熱性能が上がります。

・耐久性が高い
 瓦そのものに耐久性がありますので、ほぼ交換は必要ないでしょう。
 ただし、メンテナンスフリーということではありませんが。


リフォームや新築を考えられているかたには、

単に”瓦だから・・・”といって屋根材の選択肢から外すのではなく、

総合的に選択していただきたいと願います。



関東:大垣 康行


埼玉県の無料相談会のお知らせ

埼玉県で家づくり無料相談会を開催しています!

さいたま市・久喜市・幸手市で開催しています。



家づくりの進め方、
請負契約や設計の内容が分からない、
工事中の心配ごと、
住まいの不具合、
地震対策、等々
ご相談に一級建築士が応えます。お気軽にご予約ください。



ご希望の方は当会事務局 石川までお問い合わせください。

予約先:NPO法人 家づくり援護会 担当:石川
 TEL:03-3405-1358
 FAX:03-3405-1398
 e-mail:info@iengo.ne.jp


当会の説明リーフレットが ふれあいセンター久喜 に置いてあります。


家づくり援護会は地域のために進んで継続的に活動している市民活動団体として
埼玉県久喜市のウエブサイトに掲載されています。



自邸で気付かされた設計の第一歩とは

 私は20年前に自宅を建てました。その時の話をしたいと思います。


 我が家の土地は南側に道路があり、間口が狭く奥行きの長い「ウナギの寝床」と呼ばれる土地です。

 設計の当初、間口が狭い事が気になり、たくさんの部屋に光を入れるにはどうするかばかり考えていました。

 資金を投じて家を建てるなら、”もっと条件の良い土地に建てた方が良いのではないか”と考えるようになりました。


 今の土地と同額程度で、条件の良い土地は無いかと探したところ、東南側に道路があり、南側が間口の広い最高の角地が売りに出ている事をたまたま知りました。

 我が家の土地よりも多少値段が高かったけれど最高の立地でした。
 
 すべての部屋に南の光を取り込める素晴らしい土地だと思い計画をしてみました。

 ところが、欲が沸いて動線が長くなってしまい一向にまとまらないのです。


 改めて我が家の土地を考えてみると土地の悪いところではなく、良いところが見えてきました。

 一つの欲が消えて別の良さを見つけました。
 
 おかげ様で最高の自邸を建てることができました。

 それ以後は設計に当たって、「土地の良いところを見つける」事が設計の第一歩だと考えています。

東北:関 清