日々イエンゴ

全国の会員が日々の相談・検査・設計・研究などの活動から皆さまに役立つ事例、家づくりに関する地域の情報、社会情勢ニュースに対する専門家としての意見などを発信していきます。

鎹(かすがい)

建築用語には、ことわざになったものも多くあります。

その中のひとつが、鎹(かすがい)です。

見慣れないこの一文字で「かすがい」と読みます。




「子は、かすがい」の「かすがい」がこの『鎹』なのです。

どういう意味かと言いますと、

子に対する愛情が鎹になって、夫婦の間がなごみ、夫婦の縁がつなぎ保たれる。

また夫婦仲が悪くなろうともそれを繋ぎ止めるのが子(鎹)ということです。

「子は、親の鎹」ともいいます。



それでは、『鎹』とは一体なにか?


木造在来工法の住宅で用いられるコの字型の補強金物で、

両端が釘の先のように尖っている金物のことを言います。

これを木材に金槌で打ち込むことによって、木材同士を繋ぎ止めます。



さて、この鎹が家のどこに使われているのでしょうか。


現在では、主に床下や屋根裏に多く用いられています。

屋根裏の小屋束を繋ぎ止めたり、母屋の接手の緊結に用いたりします。


梁の上に立てる小屋束は、屋根裏の柱のようなもので、

その上下を両サイドから鎹を打ち付けるのです。



欠陥住宅予防検査の上棟検査で、鎹の打ち忘れを見付けることがあります。

床下や屋根裏は完成してからでは、

なかなか見る機会がないので重要な検査となります。

施工中にリアルタイムで行う検査が欠陥住宅予防検査なのです。







関西:鉢嶺 民雄


材のつなぎ目の金属が「鎹」


築10年を迎える前にチェックが必須です

 新築から10年目を迎えようとしている方に住宅診断のすすめです。

 これは、構造偽装事件を発端に消費者保護を目的として法制化した

「瑕疵担保履行法」で保証期間を定められたことによります。


 構造躯体や雨漏りに対し、売主又は施工会社は10年間の保証を付けること、

またその担保として保険か供託を掛けることが義務化されています。


 大手ハウスメーカーを除き、ほとんどの売主又は施工会社は保険をかけていると思います。

引渡の時に瑕疵担保保険について説明があったと思いますが、

うっかりしていると知らないうちに10年が過ぎ、

過ぎてから不具合を発見しても保険が切れていることになりかねません。


 売主又は施工会社から積極的に点検することはまずありません。

ハウスメーカーでは、点検して有料のメンテナンス工事を行うことで

「さらに10年の延長保証をします」という、

営業の機会にしているところはあるようですが、

本当に必要なメンテナンス工事であるかは解りません。



 イエンゴでは、そんなことのないように「築10年目点検」をお勧めしています。

建物全体を専門家がチェックすることで、

何かあれば保証期間内に売主又は施工会社に通知することができます。

保険は、他の保険と同様に保険期間を1日でも過ぎてしまえば免責です。

10年目に入った方はお気軽にご相談ください。


理事長:植田 達二


設計サポート

家づくり援護会の設計サポート。

建築主と建築士の協同作業で行う設計です。



「イエンゴ設計キット」を活用した住み手目線の新しい設計手法を特徴とします。

日頃、家づくり相談や欠陥住宅予防検査などを担当している経験豊かな建築士が担当します。

業者任せの家づくりをやめ、建築主のペースで家づくりを行うためのサポートです。

写真は、家づくり援護会の設計サポートを利用して建てた住まいです。


皆さん「イエンゴ設計教室」の受講者で、ご自分で間取りデザインされ、

その後、家づくり援護会で家づくりをサポートさせていただきました。


その他の受講者の建物写真は下記SNSをご覧ください。

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設計サポートのページ


関東:石川 克茂


筋違(すじかい)


家の構造材のひとつで『筋違』というものがあります。




「すじちがい」ではなく、「すじかい」と読みます。

最近では、間違った字『筋交』が使われていることよく目にします。

ハウスメーカーの図面や木材加工専門であるプレカット業者さえ

『筋交』と図面に書いている。



文字・漢字はそれぞれが意味を持っています。

交わるのではなく、違える(たがえる)のです。

それが『筋違』なのです。



パソコンで手軽に漢字変換すると『筋交』の文字が出てくるので

何の疑いもなく使ってしまっているのが現状ではないでしょうか。



「建築大辞典」(彰国社)には、きちっと『筋違』と書かれており、

筋違とは、四辺形に組まれた軸組に対角線状に入れた補強材。

風や地震力などによる水平力に抵抗し、四辺形が菱形に変形するのを防ぐ。

と記されている。



また、建築基準法施行令第45条は、

残念ながら漢字ではなく、ひらがなで『筋かい』と書かれている。

これには何故?と思ってしまう。

建築基準法は、いわゆる専門家が使う法令集なので『筋違』と漢字で

表現してほしいものです。



その施行令45条には、筋違について下記のように記されています。(抜粋)

・圧縮力を負担する筋かいは、厚さ3㎝以上で幅9㎝以上の木材を使用したものと

しなければならない。

・筋かいは、その端部を柱とはりその他横架材との仕口に接近して、

ボルト、かすがい、くぎその他の金物で緊結しなければならない。

・筋かいには、欠き込みをしてはならない。ただし、筋かいをたすき掛けにするために

やむを得ない場合において、必要な補強を行ったときは、この限りでない。




もう少し日本の木造建築を大切に正確に伝えていってもらいたいものです。








関西:鉢嶺 民雄


斜めの材が「筋違」


悪質リフォーム業者

 悪質リフォームを繰り返したとみられる容疑者が

建設業法違反容疑で逮捕されたニュースが最近報じられました。



「屋根の瓦がずれている」などと不安をあおり、

不必要な工事の契約を結んでいたとみられているとのことでしたが、

当会にも「突然の訪問業者に[お宅の屋根瓦が外れている]と言われたが、

信用して工事を依頼してよいものか?」と出張相談の依頼がきたことがあります。


 業者に「近くの自分の現場からお宅の屋根瓦が外れているのが見えた。

無料で屋根に登ってよく調査してあげる」と言われ、了承してしまいました。

業者は屋根から降りてくるなり、

「これが外れた瓦。早く直さないと雨漏りする。他も危ないので全体の補修が必要。」とし、

後日110万円の見積書を出してきたとのことです。その段階で当会にご連絡されました。


 当会で屋根を調査したところ、業者が「外れていた」と差し出した瓦は、

乾燥した土埃のついた瓦で、到底外れて数日雨風にさらされたものではなく、

つい最近外れた感じのものでした。

また外れた箇所の周りの瓦固定針金も、最近切断された切り口の状態でした。

業者が言う「近くの現場」は無く、何軒先の遠目では瓦は判断できません。

当会としては、「故意に瓦を無理やり外された」と判断しました。

また見積書に記載の会社をネット検索してみると疑問点が多く感じられたため相談者に報告し、

その結果、相談者はその訪問業者と連絡を取るのやめました。

訪問業者から上記のように言われたら、その場では話を聞くだけにして、

その後に念のため会社や代表者をネット検索で調べたりしましょう。

それから検討しても遅くありません。





関東:石川 克茂