日々イエンゴ

全国の会員が日々の相談・検査・設計・研究などの活動から皆さまに役立つ事例、家づくりに関する地域の情報、社会情勢ニュースに対する専門家としての意見などを発信していきます。

2ページ目

山林環境もサステナブルであってほしい

 山林資源に恵まれた日本は、林業など家づくりを支える

地場産業の発展を促して、地域の繁栄に大きな役割を果たしてきました。




 古くから日本で行われてきたこの、地域の、地域による、地域のための

家づくり文化を私たちは「地の家」と呼び、家づくり文化の復権を目指しております。

当会は、地場産業の林業が活性化することも望んでいます。




 検査等で車で方々行くのですが、通った道路周辺の山林や里山に

ソーラーパネルが設置されているところを見かけます。

山林の斜面をわざわざ削ってまでソーラーパネルを並べて、

いわゆるメガソーラー発電所が出来ています。




 斜面下の家が危険に及んでしまわないか心配になるところもあります。

ただ放置しているだけのお金にならない山林を所有している地主さんが、

所有·管理にご苦労されているのは理解できます。




 しかし、山林につくったほうが低コストでソーラー事業が出来るという業者都合が理由で、

山林を選択するのは安易過ぎると思いますし、

他に開発済の放棄地のような場所はないものでしょうか。




 地面に太陽光が当たらなくなり、その下の土は栄養が不足し、

地中の生物は光合成が出来ないで死んでしまい、

周辺の生態系も壊されていく可能性もあるでしょう。




 また、パネルが老朽化で撤去が必要になった時、

あるいは発電企業が倒産してしまった時など、

その後に瓦礫の山として放置されることがないかも心配です。




 一度壊してしまった環境は回復するのに年月が掛かるので、

メガソーラー発電がサステナブルな良い発電方法であるのなら、

環境に対しても「サステナブル=持続可能」なものであってほしいと思います。

SDGs「15:陸の豊かさも守ろう」で森林伐採を警告しています。

やはり発電所は自然への負担が少ない方法で、

将来に“ツケ”を残さないものであってほしいものです。


関東:石川 克茂


悪質業者にはご注意(水道編)

 住まいの不具合は経年劣化とともに発生しますが、
特に急を要する不具合として水道管の水漏れがあります。

 水道検針などで、急に使用量が増えたり、
蛇口を止めているのにメーターが廻っていたりすると
検針員が水漏れの可能性を教えてくれます。



 ただ、敷地内の水漏れはご自分たちで手配して修理しなければなりません。

インターネットで検索すると「緊急対応」や「水道トラブル解決」などの
うたい文句で多くの業者が出てきますが、中には悪質業者も含まれているので注意が必要です。

よく聞く名前の業者でもトラブルに発展するケースも出てきています。


 ろくに漏水調査をしないで「配管が古くなっているからすべて配管を交換する必要がある」
と言って高額な修理費を提示してくる業者もがいます。

 また、床下などで漏水がある場合、床を壊して配管を直しても床の修理がいい加減であったり
修理に高額な費用を言ってきたりするケースもあります。

 トイレも同様に、部品交換で済むような場合でも、
便器ごと交換しなければダメなようなこと言って多額の費用を請求されたケースもあります。



 もしそのようなことを言ってきたら、絶対にその場で依頼はしないでください。

 緊急性があるとどうしても焦ってしまいますが、
ほかの業者にも見てもらうなど、比較することも有効です。


 そのような業者にあたらないためには、
地域の信頼できる工務店さんなどを覚えておくことも安心です。

 工務店さんは、常に様々な業者さんと協力しながら家づくりをしますので、
信頼できる水道屋さんに来て貰うことができます。



 また、前述した床の修理などの付随する工事も安心して任せることができます。

 地域で長く営業している工務店さんは、信頼がなくては続けることができませんので、
地域の評判を聞いてみても良いかもしれません。


不安なことがあれば、是非イエンゴにご相談いただければと思います。



理事長:植田 達二


地震に備える

 日本は様々な種類の災害が多く起こる可能性があります。

 その中でも地震災害に対する備えは誰にとっても重要な課題で、万が一地震災害が発生すると誰もが被災者になります。


 とりわけ高齢者や障害のあるか方などが住む家では、家具転倒などの被害によりケガをする可能性があることはこれまでの地震災害の中で明らかです。

 ケガの可能性を最小限に留めるためにどうすれば良いか。

 今の家を耐震化するのは費用の面でも困難であるならば、家の中の安全な場所と避難路の確保だけでもすべきです。



 当会では「防震」と呼んでいる「誰もが出来る家の地震災害防止対策」を推奨しています。

 「地震に備える集い」という意見交換会を実施している地域もありますのでご参加ください。

 当会は建築士としての意見となりますので、高齢者や障害のある方などに対する日頃の訪問活動やみまもりをしている民生委員の方や、地域防災に関わる方との意見交換をすることで、地域防災のお役に立てればと考えております。


お問い合わせは家づくり援護会事務局までご連絡ください。

NPO法人家づくり援護会 事務局
東京都渋谷区千駄ヶ谷4ー3ー1ー602
 TEL:03-3405-1358
 e-mail:info@iengo.ne.jp



桐のフローリング

 桐材と言えば箪笥を思い浮かべると思います。


 高級家具ですね。


 昔は下駄やまな板と言った生活用品にたくさん使われていました。

植えてから15年から20年で成木となるので、

女の子が生まれると庭に苗を植え、その桐材で嫁入りダンスを作ったと言う話を聞きました。


 その桐材を使ったフローリングがあります。

やわらかい木ですので傷がつきやすいのですが、

そのやわらかさが肌に心地よく転んでもケガをしにくいのが特徴です。


 比重0.28~0.3と軽い素材は空気をたくさん含んでいて断熱性に優れています。

他のフローリングに比べ暖かく感じます。

素足で生活するのに適しています。

桐材は傷つきやすいのですが復元力があり、

水を含ませアイロンをかけることで修復できます。

値段は安くはありませんが面白い素材だと思います。


 桐材の産地は多々ありますがその一つに新潟の五泉があります。

昔は需要があったので山も手入れがされていてたくさん生産されていたようです。

今は家具としての需要も減り、山に手を入れる余裕もなく、

用材としてはほとんど使えないようです。


 そこで中国の人件費が安かった頃、中国で植林をして桐材の生産を始めました。

桐材にはアクがあってアク抜きをしなければならないのですが、

それも中国で丁寧に指導して良質の桐材の生産ができるようになりました。

ところが、中国の人件費が上がってしまって、

日本の企業が経営することはできなくなったようです。

今はただ単に製品を中国から輸入しています。


 日本の人件費が安くなってしまった今、

山の再生ができる時代になったのではないのかなと思うのです。

桐のフローリングや家具の需要が増え、

いつの日かまた五泉の山で桐の生産ができるようになるのを願っています

東北:関 清


「住宅産業」住宅は産業?

「住宅産業」、世間では時々耳にする言葉ですが、

「住宅産業」というその言葉自体に少し違和感を覚えてしまいます。



いかにも大量生産で画一的な家を建てているハウスメーカーの

ためにある言葉と思われます。



コツコツと一軒づつ丁寧に作られた家のイメージが

「産業」という言葉からは湧いてきません。

「家づくり」と「産業」という文字は、そもそも馴染まないのではないか。



そんな中、もともと住宅の業界ではなかった全く関係の

ない業界からこの業界への参入が始まっています。

なんと、自動車メーカーT社や家電販売企業Y社が家を造るというのです。

家電屋さんが「電気自動車と家」をセットにして販売するという。



住宅建築を専門にする大手ハウスメーカーでさえ、

色んな問題を起こしているのにも拘わらず、

異業種からの住宅業界への参入です。



一方、大手ハウスメーカーD社は、

人口減少などで日本国内のパイが減ってきているため、

海外へ進出しだしているようです。

海外比率50%を目指すとか。



日本の街並を変えるだけでは飽き足らず、

海外の古き良き街並みまで変えていくつもりなのか。



これからの時代はなおさらのこと

家づくりを依頼する側(建て主)が、しっかりと考えを持ち、

施工業者を選別しないといけない時代になってきたように思われます。



関西:鉢嶺 民雄